レンガホール(旧別府郵便電話局電話分室)
別府郵便局の電話分室として1928(昭和3)年に完成したもので、旧別府市公会堂と同じく吉田鉄郎
の設計によるものである。アーチを用いたバルコニーや星をイメージした照明器具のデザインなどに
共通点が見られるものの、全体的には装飾性を排除したシンプルな構成をとっており、その後さらに
直線を主体としたモダニズム(合理主義)建築を目指してゆく彼の過程を示すものとして、両者を
比較して見てみると大変興味深い。
戦後間もない1947(昭和22)年に別府電話局となり、1964(昭和39)年の電話局移転に伴い翌年
別府市が庁舎別館として買収、1976(昭和51)年には水道局分室さらに1985(昭和60)年からは
南部出張所として使用されるなど用途変更を繰り返した。老朽化の進んだ1991(平成3)年本格的
改修が実現、名称もレンガホールとなり現在に至っている。
時代の要請が目まぐるしく変化してゆくなかで、近代化遺産を巧みに活用している事例としても
特筆される。