別府市コミュニティセンター

 本建築は別府市の文化活動の拠点として平成7年度に整備されたものである。施設内容は近世の 「芝居小屋」スタイルをもつ多目的ホールと休憩・談話室のある浴場施設から構成される。
 建物は低層の大きな2つのボリュームにまとめられ、敷地中央の広場を囲むように配置されている。 多目的ホールは、木造平屋建てで、伝統的「芝居小屋」の様式を活かした床座の枡席が特徴であり、 観客席の形態が作り出す舞台との一体感は、大劇場では味わえない醍醐味である。
 浴場施設は、3つの談話室と休憩室を兼ね備え、複合的な利用を目的として計画されている。
 近世以来、「芝居小屋」は、庶民の交流の場でもあり、地域コミュニティ形成に大きく貢献していたと 言えるであろう。地域住民の結びつきが希薄な現代社会において、この芝居小屋と温泉が結びついた 本施設は、これからのコミュニティセンターのあり方に大きな示唆を与えるものとして注目を集めている。