文化遺産があることは、自分達の住んでいる町の誇りでもあるし、教育の教材にもなる。しかし文化遺産が教材に使われている例があるかといえばなく、特に民家ではほとんどない。昔使っていた農機具を集めた資料館みたいなものは、どこの町に行ってもあるが、それはそこに置いてあるだけで、例えば子どもたちがそこへ行って、はた織りの機械があるからといってはたを織るかといえばそんなことはしないだろう。最近は石器や土器などを発掘して、それを再現しようという取り組みもある。例えば火を熾すのに、昔、火を熾していた時のような道具を使って熾す、そういうことを時々行っている歴史資料館が多くなっている。しかしそれも夏休みなどに、時間潰しでそういうことをさせてみたらどうかということで、あまり教材としては利用されていない。大分県の建物は文化財になってから後の利用の仕方が非常に悪い。せっかくの文化財をあまり活かせていない。
5 年くらい前、イギリスではナショナルトラストという運動が盛んに行われていた。それは一般の人からお金を集めて古民家を買い取って、それを教材に使うというものだった。実際に頻繁に小学生や中学生が見学に来ていたようだ。ようするに文化遺産と教育というものをドッキングしている。日本でもそういった取り組みがなされるといい。
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