ハワードヒューズ医学研究所の研究者
「宇宙の底で『ヒューズが残したもの』:朝日新聞2004.11.30、柳澤桂子(生命科学者)」より抜粋
*ハワードヒューズ研究所(HHMI)が研究者を選ぶ際の手順や基準とは何だろうか?
「研究者の採用には、まず優秀な研究者の推薦が必要である。推薦された研究者は研究所で公開セミナーをして自分の研究を発表する。次に研究所の審査員から面接を受ける。」
「研究テーマによって人を選ぶのではなく、その能力によって選ぶと記されている。望ましい能力とは、幅広く深い知識、科学的直感への柔軟性、新しい好機を捕らえたら、それを追跡する能力である。アメリカでは特に”ひらめき”が重視されるが、これは二つ以上の、一見、何の関係もなさそうな事象の中に関連性を見いだし、一つの理論に結びつける能力である。この能力を持つ人は、次々に大きな発見をする。(後略)」
*必要なのは「幅広く深い知識と柔軟性、追跡能力」、そして「ひらめき」。
我が国では狭量に論じられることが多いようだが、広いだけ(教養重視?)でも深いだけ(専門重視?)でもない。が、HHMIのような超一流研究所であれば、そこにいるエリート達が何でもできるのは『当たり前』のようでも、ある。但し、HHMIと言えども1953年の設立以後、しばらくは(少なくとも柳澤氏がコロンビア大学を訪れた1960年頃までは)「目立った存在ではなかったし、少なくともエリートの研究所というイメージはなかった」、とのこと。
*ちなみに柳澤氏によれば、「よい研究をするためには、優秀な博士研究員(ポスドク)がたくさんいることが重要である。(中略)HHMIのフル・インベスティゲーター(研究員)の場合は、博士研究員10人、実験助手5人、秘書1人、、、、」とのこと。即ち一人の研究員に16人のスタッフ、ヒューズのような(学術や文化への寄付を当然と考える)大金持ちのいない我が国では望むべくもないが。ま、『よい研究にはチームワークが重要!』という点だけでも見習いましょう。