1999年度修士論文
コンピュータグラフィックス手法を用いた
高密度都市景観に対する
評価構造についての研究

7.視覚指標分析 

7.1.視覚指標の概念と収集方法

本研究における視覚指標とは、景観画像の視覚的状況を表すさまざまな指標である。

視覚指標収集の手順は以下のとおりである。

  • 前景画像(「3.3.CGによる視覚化」参照)に相当する部分を黒、その他の部分を白とする前景マスク画像(縦900pixel、横1200pixel)を作成する(図 32参照)
  • 各視点場から前景マスク画像越しに前景マスク画像の各ピクセル方向へ視線を伸ばすことによって建物モデルの可視/不可視を判定し、その結果を出力するプログラムを作成する(図 33参照)
  • 可視/不可視判定の結果を集計し、視覚指標値を得る
図 33 前景画像と前景マスク画像(視点場3の場合)


 

図 34 可視/不可視計算の方法


また、この結果得られる視覚指標の種類は、表 9のとおりである。

表 9 視覚指標


このうち、画像占有率とは、アパート総計、空、前景のそれぞれが見えるピクセルの数を画像の全ピクセル数(900×1200=1080000ピクセル)で除したものである。また、仰角とは、視線方向と水平面のなす角度のことで、視線入射角とは視線と建物モデルの壁面が成す角度、距離とは視線と建物モデルとの交点と視点場の距離のことである。仰角、視線入射角、距離における最大、最小、平均、標準偏差は、アパートが可視であると判定されたピクセルに対する視線全部についての値である。また、ブロック画像占有率とは各ブロックについての可視ピクセルの数を全ピクセル数で除したものを指し、各画像について、最大、最小、平均、標準偏差を算定した。

なお、視覚指標値の収集は写真を除くモデル画像18枚を対象として行い、可視不可視計算にあたってはバルコニー形状、ペントハウス等を省略したボックス形状の状態のものを用いた。

 

7.2.可視範囲の状況


各視点場およびモデルごとにその視覚的状況を端的に表すため、ブロック毎の画像占有率を図 34〜図 36に示す。

図 35 ブロック画像占有率(視点場1)


図 36 ブロック画像占有率(視点場2)


 

図 37 ブロック画像占有率(視点場3)

7.3.視覚指標値


各画像の視覚指標値を表 10に示す。

表 10 各画像の視覚指標値

7.4.評価因子との関係

7.4.1.評価因子との相関


各視覚指標と評価因子の得点との相関を表 11に示す。

表 11 視覚指標と評価因子の相関


これを観察すると、好感度因子では、空・アパートの画像占有率や仰角の標準偏差、視線入射角の平均値、ブロック画像占有率の平均との関わりが深く、一般的にアパートの見え方が小さく、視線入射角も小さい画像が評価が高いと考えられる。

印象度因子でも、空・アパートの画像占有率や仰角の標準偏差との関わりが深いが、好感度因子とは逆の方向へ相関係数が高いものが多い。

秩序性因子では、前景の画像占有率や視線入射角・ブロック画像占有率の標準偏差との関わりが深く、アパート以外の要素が比較的少なく、大小のアパートが連続的に立ち並ぶ画像の評価が高いと考えられる。

7.4.2.好感度因子との関係


好感度因子と相関が深い視覚指標との関係を図 37に示す。

図 38 好感度因子と視覚指標の関係

7.4.3.印象度因子との関係


印象度因子と相関が深い視覚指標との関係を図 38に示す。

図 39 印象度因子と視覚指標の関係


 

7.5.4.秩序性因子との関係

秩序性因子と相関が深い視覚指標との関係を図 39に示す。

図 40 秩序性因子と視覚指標の関係
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