京都大学地球物理学研究施設

 本施設は、別府市の市制がしかれた1924(大正13)年に建設され、同時期に建設された別府市中央 公民館と並び、別府を代表する貴重な近代建築物のひとつである。設計は、当時、京都大学の営繕課長 である永瀬狂三で、彼は辰野・片岡設計事務所に従事した経緯もあることから、本建築の赤と白で構成 された外観は、辰野のスタイルを受け継いでいると見ることもできる。
 この建物は、赤煉瓦造の地上2階半地下1階建であり、L型・片廊下のプランとなっている。その正面 ファサードは塔屋と玄関を軸として左右対称に構成されたデザインとなっており、煉瓦造りの外壁は、 大小の柱型を交互に配置し、その間に窓を設け、上下を白い帯で締め、気品ある均整な姿を呈している。 またギリシャ建築のイオニア式オーダーや、エントランスの受付窓廻りなどのクラシックな意匠を、 幾何学的な形態で表現しているところなどが特徴であり、セセッション風の大正期を代表する様式である。 なお、本施設は屋根がフラットからセメント瓦に補修された以外は、竣工以来大きく手を加えられた ことがなく、現在も京都大学の火山温泉・地熱の研究所として活用されている。