ネット写真展
「飛行機の窓から」−私が見た地球の彫刻−
大分大学工学部教授 佐藤 誠治
私は20年ぐらい前から飛行機で出張する時には必ず窓際にカメラを抱えて乗るよう
になりました。窓から眺める地上の景色をカメラで記録する楽しみは格別です。皆様
とこの楽しみを共有したいですね。**********************
今回は3シリーズの写真を展示しますが、私たちが乗客として乗る飛行機は自由にコ
ースを選べないのはもちろんのこと、窓に傷が付いていたり、逆光であったり、翼の
近くであったり、とりわけ天候はいかんともしがたく、窓から撮影するのはほとんど
運との勝負のようなところがあります。一部の写真にはそういう限界を感じさせるも
のもありますが、それはかえって臨場感を感じさせてくれるのではないでしょうか。
副題に「私が見た地球の彫刻」と大げさな表現をしましたが、正直そう感じます。*
皆さん、一緒に世界の空を飛んでみませんか。地球の表面は実に多様な表情を見せて
くれます。そういう地球の環境を大事にしたいと本当に思うようになりました。**
都市と自然の共生編
湖?それとも海?
00年8月:ニューヨーク(J・F・ケネディ国際空港)→シカゴ(オヘア国際空港)
撮影場所:ミシガン湖上空
ケネディ空港からシカゴに向けて飛ぶと途中で五大湖の上空を通ります。周辺は
広大な農地と都市集落が展開し、アメリカの国土の広大さに驚嘆です。****
スカイライン
00年8月:ニューヨーク(J・F・ケネディ国際空港)→シカゴ(オヘア国際空港)
撮影場所:オヘア国際空港着陸直前
シカゴのオヘア国際空港に着陸するときに有名なシカゴの中心部のスカイラインが
見られます。シカゴはこのように高層ビルが有名ですが、都市の周囲は広大な森林
が広がっています。まさに緑に囲まれた都市といったところです。*******
モザイクの大地
94年8月:パリ(シャルル・ドゴール空港)→大阪(関西国際空港)
撮影場所:ドゴール空港離陸直後
ドゴール空港を離陸する時に撮影しました。フランスは農業国、そういう感想です。
でもよく見ると、集落の中に工場らしき建物が見えたりしています。農村の工業化が
ここでも進んでいるのでしょうか。**********************
海と都市の接点
97年12月:デリー(インディラ・ガンジー国際空港)→シンガポール(チャンギ国際空港)
撮影場所:チャンギ国際空港着陸直前
シンガポールの空港に着陸直前、旋回中の写真です。遠浅の干潟に突き出た居住地の
様子が理解できます。海と人との共生、都市と自然との共生が多様な形で営まれてい
ることが伺えます。*****************************
田園と集落
92年8月:インドネシア・バリ島(ングラライ空港)→
インドネシア・ウジュンパンダン(ハサノデン空港)
撮影場所:ハサノデン空港着陸直前
インドネシアは農業国である。広大な農地の中に島のように広がる農業集落はカンポン
と呼ばれています。カンポンはお互いに緑のひものように繋がっている様子がわかりま
す。農地の面積と比較するとカンポンの面積が他の国の農業地域と比較して広く感じら
れます。人口の多さを表しているように思われますが、推測の域を出ません。****
南船
97年11月:北京(北京空港)→上海(虹橋空港)
撮影場所:虹橋空港着陸前
南船北馬という言葉がありますが、その南船の地である中国長江の下流にあたる上海
には広大な地にクリークが張り巡らされています。集落も、耕作地もクリークに浮か
べた船が輸送手段になるのです。隋の煬帝は河北から江南に至る大運河を建設しまし
たが、写真に写っている運河がそれであるかどうかは確認できていません。 ****
水と緑と人の生活
94年8月:パリ(シャルル・ドゴール空港)→オスロ(オスロ空港)
撮影場所:オスロ空港着陸直前
オスロの空港に着陸直前に深い湾に囲まれた半島に緑豊かな住宅地が見られます。な
んと豊かな環境なんだろうと思いました。スカンジナビアの豊かさはこんなところに
あるのでしょう。******************************
珊瑚礁の島
03年3月11日:沖縄(那覇空港)→大分(大分空港)
撮影場所:伊是名(いぜな)島上空
沖縄県島尻郡の伊是名島は珊瑚礁の島です。エメラルドブルーの海は地球の財産、
大切にして守りたい。そう思います。********************
渦潮
95年2月:大分(大分空港)→東京(東京国際空港<羽田>)
撮影場所:鳴門海峡上空
本四架橋で最も早く開通した鳴門大橋は渦潮で有名です。飛行機の上からもこの自然
エネルギーの巨大さが理解できるでしょう。******************
波立つ海
03年3月8日:大分(大分空港)→沖縄(那覇空港)
佐賀関半島の突端に位置する佐賀関町の中心部と日本金属の工場は海との共生を良
く表現しているように思われます。この日はかなり強い風でしたので、良く目をこら
すと海の表面が波立っているのがわかります。*****************
半島の晩秋
94年11月:大分(大分空港)→ソウル(金浦国際空港)
ちょうど10年前の大分空港を離陸しました。国東半島は両子山を中心として放射
状に広がった谷と稜線で形成されていることが理解できるでしょう。空港ビルは以
前のままですがホーバー乗り場はビルの横につけられています。********