ゆっくり刻む大学 of 佐藤誠治 建築・都市計画研究室

2008年度支部共通事業 日本建築学会設計競技

課題 「記憶の器」

提案 「ゆっくり刻む大学」

LinkIconコンペ趣旨

大分市では急速にその郊外が急速にその勢いを増している。大型のショッピングセンターを中心に、住宅団地、医 療施設、商業施設と、その開発の手を止めない。それと反比例するように、中心部では相次いで大型店舗が撤退し、空き店舗が増え、街中にコインパーキングが 目立つような状況にある。

また、人口減少に伴う少子化により、様々な難問が考えられる。

大学もそのひとつ。各大学はその 生徒数を減らしてしまっては生き残れないと、危機感を募らせている。あの手この手をつかいを使い、学生を獲得しようという動きがある。内容の見えない学科 名、郊外へと移転するキャンパス、中身の見えない合併・・・。今、大学は社会から隔離され、本来の目的を忘れ去ろうとしている。社会なくして大学をあらし めることはできないのである。

そんな大学はつまらない。

そこで、われわれはこの大分市中心部への大分大学移転計画を提案する。「おおきくて、まあるい、街の中の大学」大分市中心部のエリアごとで特徴のある、変化で富んだ場所であるが、

その変化に富んだ敷地をなぞりながら、それぞれの特徴に呼応し、それらを包含しながら存在していく。うして、今ままで山奥に身を潜めていた大学が街に働きかけ、街と大学が直接的に対話していく。

将来、大学はその規模を減らし、役割を変えることとなるが、そのとき、大学は校舎の不必要な部分を街に対して提供していく。街と大学、2つは混ざり合い、円の存在を残しながらも、時の流れとともに形態やその役割を常に変えていく。

そ してその移り変わりを、この建物は憶えていく。この鉄の外壁には、その時々の内部空間に対応して開口が刻まれていく。小さな窓の教室が大きな店舗のショー ウインドウの店舗に変わったり、貫入した住宅の型が掘り込まれたり・・・。掘り込まれた沢山の”傷”は街の変化を表し、この建物が記憶の器として、街やそ の建物を内包しながら街とともに変化を続けていくのである。

受賞者

  矢野 佑一
  山下 博廉
  河津 恭平
  志水 昭太
  山本 展久

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