パネルディスカッション

   「地域づくりの風」

 

 

 「今 地方の熱意が風になる」を全国統一テーマに「感じてください 緑の風を」日田玖珠大会テーマに掲げ、いずれも風がキーワードとなっています。

 平松大分県知事の基調講演も『各地域が独自の風を巻き起こそう』という願いから、「一村一風」をテーマにお話をいただきました。

 また、九重氷の祭典は九州を代表するイベントであり、「一村一風」の代表的な地域交流イベントであります。

 このパネルディスカッションは、高度成長期から積み上げてきた今までの町づくり、村づくりの方向は正しいのか、新たな方向はないのかを問い直す今がまさにその時であるという問題提起です。さらに、地域や人々を押し包みゆり動かして行く風が、新たな時代の住民合意に高まるかというテーマに沿って、次の項目で論じます。

 

 

   1.新しい風が必要なのかどうか。

   2.風は感じられるか。

   3.どうやって風を起こすか。

   4.その風は地域に受け入れられるか。

 

 

 コーディネーター  小板善治郎(第2分科会コーディネーター)

 パ ネ ラ ー     山拭 吉孝(第1分料会コーディネーター)

  パ ネ ラ ー     峰尾 一路(第3分科会コーディネーター)

  パ ネ ラ ー     佐藤 誠治(第5分科会コーディネーター)

 

 

○司会

 

 皆様おはようございます。きのうの分科会と交流会はいかがでしたでしょうか。有意義なひとときをお過ごしになられたことと思います。

 では、早速「地域づくりの風」をテーマにパネルディスカッションを行います。

 まず、コーディネーター並びにパネラーの皆様を御紹介させていただきます。本日のコーディネーターをお務めくださる日本イベントプロデュース協会専務理事の小牧善治郎様です。そのお隣がパネラーをお務めくださる大分大学工学部教授佐藤誠治様です。同じくパネラーのNHK大分放送局局長山田吉孝様です。そしてもう一方パネラーの宮崎公立大学人文学部教授峰尾一路様です。

 では、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

○小坂善治郎

 

 おはようございます。どうも。コミュニケーションの最大の融和というのにノミニケーションというのがございまして、私たちもゆうべすっかりお酒をいただきまして、それぞれの分科会で壇上にはおりますけれども、一生懸命お酒を飲んでまいりました。本当に各地区で大変なもてなしありがとうございました。きょうは皆様もゆうべは随分飲まれた方も多いと聞いておりますし、大変よろしかったと思いますんで、気楽に進めさしていただこうと思っております。

 

 きょうのテーマは「地域づくりの風」というタイトルでございます。そして、4つの項目に分かれております。

 

1つは、「新しい風が必要なのかどうか」2つ目には、「風は感じられるか」3つ目には、「どうやって風をおこすか」それから4番目に、「その風は地域に受け入れられるか」という、この4つのキーワードをいただきまして、きょうは3人の先生にお話を聞きたいと思っております。

 

 3人の先生は、皆様御存じだと思いますけれども、1分科会、それから3分科会、5分科会を担当されてきております。佐藤先生は都市工学を中心に地域づくりに励んでおられます。

 それから、山田先生は御存じのようにNHKの解説委員で、テレビでもたびたび出ておられます。経済を担当されて、今大分放送局長という形でマスコミの全く最先端を担われてる方でございます。で、深く地域とかかわってるわけでございます。

 それから、峰尾先生は活字の方の新聞の方の論説の方をされてから、大学の先生になられたということで、大変地域とのかかわりも深いという状況でございます。

 で、きょうは大変いい3人のそれぞれの専門分野の先生をお招きいただきましたんで、いろいろお話を聞きたいと思ってます。私たちは本音で独断と偏見と言うと失礼ですが、独断と私見をあえて述べていただくように3人の先生にお願いしてございますんで、ひとつよろしくお願いしたいと思っております。

 では最初に、1番目の新しい風が必要なのかどうかということと、2つ目の風ほ感じられるかというようなことにつきまして、少しこれをまとめまして、風とは一体何なんだろうかということで、風ということについてどのようにお考えになってるか、あるいはどのような視点で見たらいいかというようなことを3人の先生にお聞きしたいと思っております。

 

 まず、佐藤先生ひとつよろしくお願いします。

 

 

O佐藤誠治

 

 先ほどコーディネーターの小坂さんの方からノミニケーションを非常にやったということで、実は私も非常にノミニケーションやりまして、どんな風の話になるか非常に不安でございますけれども、昨日、知事の講演の中で風というのは見えないんだと、例えば、その木々がなびいていることで風があるということがわかるというふうなことをおっしゃいましたね。そういう意味で非常に風というのは漠然としてとらえようのないものだなあと、一村一品あるいは一村一文化あるいは一村一スポーツいうふうな、そういうものをすべて一村一風というものに置きかえておられたですけども、そういう意味では非常に概念として幅の広いもので、実は最近私、風水思想といいますか、そういうものにちょっと研究的にもちょっと踏み込んでやろうとしてるんですけども、その風水思想は、中国で発生した概念ですが、思想ですけれども、いろいろ研究してみますと、地中に流通する精気、気ですね、これが風によって散らぬ場所が一番いいというふうに言っているんですね。ですから、実ほ風があんまりおこらない場所が実は一番いいんだと、そういうところに都市だとか、あるいは墓だとか、そういうものをつくると言ってるわけです。

 もう一つ、そういう風水思想の中にそういうもの全体を包括する概念として蔵風得水というふうに言ってんですね。要するに風を蔵して、蔵風得水、水を得ると書くんですけども、そういう風を蔵して、そして水によって気が流れない、気が外に行かないというような、そういうことを言ってるわけです。ですから、どうもこういうことから言うと風はあんまり吹かない方がいいんだなあというふうなことも一方で言えるかなあというふうに思います。

 それからもう一つ、一風変わったなんていうことを言いますね、一風変わった人だと、そんなふうなことを言います。この場合の一風というのは一つの様式あるいは他と異なった一種の趣というふうなことですね。そういうことから言うとどうもこの風というのがそれぞれの地域が他の地域と異なる、これはアイデンティティーなんていうことを言いますけれども、どうもそういうものをあらわしてるようにも見えるわけであります。したがって、そういう風、一種のそのアイデンティティー、そういうものをつくり出していくことが今回の地域づくりに与えられたキーワードとしての風の意味じゃないかなあというふうな感じも一方ではしてるわけです。

 したがって、そういう風というものをおこしていくときに、例えば地域づくりをやりながら、ボルテージを上げていくと、非常に抽象的ですけども、そういうことがどうも風をつくるということになるんじゃないかなあという感じがしてます。ただ、人それぞれとらえ方が違うわけで、実は大分県の過疎・地域振興対策局が出している本を見ますと、どうも風というのは一つ一つの地域がつくってる施設みたいなものも風だと言っているんですね。そういうことから言うと風をおこすなんか造風機といいますかね。そういうものを実はつくることが一番大事なんであって、風そのものはやっばりなんか非常に見えにくいんじゃないかなと、何でも風になり得るということでなんかまとまりませんけれども、そんなふうに思ってますけど。

 

 

○小坂善治郎

 

 わかりました。どうもありがとうございました。

 じゃ山田先生お願いします。

 

 

○山田吉孝

 

 新しい風が必要かというと、必要です。新しい風が感じられるかというと、感じております。で、ちょっとお話をしたいんですが、時代を吹く風は変わったと思います。きのうの分科会でもそんな話がいろいろ出ましたけれども、地方の時代というふうに言われた時期がございました。今もまた言われております。最初の地方の時代と言われましたのは日本列島改造論から過剰流動静石油ショック、狂乱物価と、こういう時代に当時私は大蔵省担当の記者でしたが、中央政府の財政がパンクしたと、御存じのように大量の国債を発行した時期です。借金財政が始まった時期です。それで、とても中央じゃ持ちきれないということで、いろんなことを始めました。そういう中で中央政府は、私は財政の方から地方の時代を言い出したというふうに考えております。

 しかし、ちょうどそのころから東京の一局集中というものが見えてまいりまして、地方は双方から危機感を持ってみずからの手で立ち上がろうとしたと思います。それが大分の一村一品という運動がたちまち全国に広がったというようなことになったんじゃないかと思います。その後御存じのように四全総、今、五全総の準備が進んでおりますけども、ふるさと創生1億円、自分で考えて自分で実践してみろということで、皆さんに玉を投げました。あれは、そういう意味ではすばらしい実験だったと思います。いろいろ迷いもありましたけれども、ちょうど経済でいうとバブルで大変な高度成長期を思わせるような時期で、みんな夢見た時期がございました。

 私は今はやはり十数年前と同じように財政危機というのが一番大きな問題だと、日本経済の実力については、私は信じておりますので、むしろそういう意味ではバブルの民活が地方にとって縮小したということを重視しなくちゃいけませんし、それは不可避であり、もうその夢は見ない方がいいというふうに申し上げたいと思います。そういう意妹では、これからという地方にとっては大変な危機感が今あろうかと思います。

 大都市圏でいいますと、既に一局集中の行き過ぎによって、既にいろんな形で指摘されておりますけれども、数字的にも三十代ぐらいの人たちから少しずつ地方に逆戻りするというような現象が見えてきております。

 で、大東京も悩みを抱え、地方も悩みを抱え、この両面合わせて大変な気の時代だと思います。昔神戸で海運記者をやっておりまして、少し海の勉強をいたしましたが、大して勉強しなくてもわかることですけども、船乗りさんは台風が来ますと風が来る方向に船首を向けてつなぎます。で、今は確かに向かい風に見えます。ですから、ぜひこの向かい風に真っすぐへさきを向けて、問題を直視して、我々の持ってるもの、足らざるものをしっかりと見詰めるということが必要だろうというふうに思います。

 で、もう一つ申し上げたいんですが、風は感じられるかということですが、一村一品から一村一文化、一村一風というふうに進んできまして、きのう、きょうのこの西日本交流会議も「感じてください緑の風を」と、こういうことになっておりますので、ぜひそういう風が欲しいわけですけれども、風は少しずつ吹き初めていると思います。私、平松知事が風という言葉を使ったのもむしろ物サービスというところに焦点を扱って、一村一品、あるいは一村一文化といって、もっと広げて、ともかく大きな時代の変革の中で私たちの考え方を変えなくちゃいけないと、全面的に変えなくちゃいけないという意味で言われたというふうに、私は受け取っております。

 そういたしますと、それを私たちがそれぞれの地域事業にあわせて、いろんな格好で好きなように翻訳をして、舳先を風に向けて動くと、そうすれば風が追い風が吹いてくるんじゃないかというふうに思います。

 

○小坂善治郎

 

 ありがとうございました。次に、峰尾先生ひとつよろしくお願いします。

 

 

○峰尾一路

 

 今山田さん、風を勝手に解釈しろと、全くそういう意味ではあしたはあしたの風が吹くという解釈も成り立つわけですが、私は2点だけ申し上げたいと思います。

 まず1点は、風はせめる風、このせめるというのを解釈しますと、攻撃する攻めると、それから自分を責任をとる、自分を責める責め、2つ漢字がありますね、まず攻める風であってほしいと。

 第2点目ほ、その風をいわゆる根っこあっての風ですね。ふらふらしているとそれこそ一昨年の台風19号のように大きな風が来るとひっくり返ると、そういうことにならないように大地に根っこを張った自分というものを確立した上で風を受けていく、あるいは風をおこしていくということが大事じゃないか。この2点を最初にこの風とは何かというところで私の意見として述べたいと思います。

 で、その攻める方の、まず攻撃する方の風でございますが、今から22年前、私が籍を置いておりました西日本新聞において、あすの西日本を考える30人委員会という、そういう組織をつくりまして、そこで地方分権の思想というものを一つの理論武装したわけです。

そのときに私どもも一生懸命勉強して、一体日本には本当に地方の自治というのがあるんだろうかということを勉強しました。そのときに私は非常に愕然としたんですね。きょうここにお集まりの皆さん方は8割方は町村の職員の方が多いと思いますけども、皆さん方どうですか。例えば県とか国から仕事があってね、きのう平松さんは32%、いわゆる3割自治と言いましたけども、本当は3割自治どころか1割自治、もう1割切ってるような、あるいは国からのいろんな事務、県からの事務で、なかなか本来の自分の仕事ができない、そういう状況というのがあったんですね。それは何かと言うと、私はちょっとオーバーな言い方しますと、律令以来日本は中央集権という体制がずっと続いているんですね。ですから、中央集権からなかなか抜け出せないんですね。

 ですから、今細川さんが言ってる地方分権なんちゅうのはどこまで実現するのかなと、非常に疑問に思うことがいっぱいあります。でも、そうは言っても、やはり我々は今この攻める風を、地方からおこしていかなきゃいけないんじゃないかなと。そういう意味でまず攻撃する風をおこそうじゃないかと、こういうことを言いたい。

 それからもう一つは、そうは言ってもあんまり元気よ過ぎて浮き足立ちゃまずいわけで、この風をみずからを自分を追いつめていく、目標ですね。例えばこういうところで発言しますと、これは一つの責任を生じますから、あいつ大きなこと言った、日ごろは口先ばっかりじゃないか、実際は何だと、こういうふうに言われますね。それと同じように、自分が今からやろうとすることを目標なり何なりいうものを出して、そしてそれによって自分を追い込んでいこうと、そういう風であってほしい。ちょっとつま先立って、ちょっと自分には負担が多いかなというような目標を立てて、そしてそれを一つの風として自分を追い詰めていく。それは自分のこれからの地域を変えていく、あるいは分権というものを組み立てていくためのエネルギーになり得る。風というのは、これは地球物理的に言えば、こういう大気の循環の中で熱交換をし、そして、いろんな作用を地球の上の気候の調節をする大きな作用があるわけですから、そういう作用をみずからを責めることによって生み出していく。例えば、地域住民の人に私どもはこういうことをしますといって言った以上はそれを果たすという、責めを果たす風になってほしい。

 それから、2番目のこの根っこあっての風というのは、これはもう当然ですね。いわゆるみずからの地域文化、いわゆる固有の文化というものにこだわりを見せながら、なおかつそこに根を張りながら新しい風をおこしていく。新しい刺激を求めていく。そういう姿勢という、この2つをまず私は申し上げたいと思います。

 

 

○小坂善治郎

 

 ありがとうございました。

 地域づくりの風ということのキーワードとして、今3人の先生からお話を聞いたんですけれども、一つにはやはり越えなければいけないハザード障害というのがあるわけですね。その一つに、どうも自治の分権ということがあろうかと思います。自治の分権が多分九州から吹き出してるようでございますから、それは期待すると同時にみんなで頑張ってかち取っていかなきゃいけないだろうと思います。もう一つは自助努力というようなことがあろうかと思いますが、自分たちで自分たちの魅力ある地域をつくっていくということになろうかと思うんですが、それにはどうしてもキーワードとしてハード的な戦略、そしてもう一つはソフト的戦略、それからもう一つは情報戦略といいますかね。それから文化戦略と、こういうものが非常にうまいぐあいに融合していくというところに風がおきるんではないかというのが、今3人の先生のお話だったと思っております。

 では続きまして、ポイントになります、どうやって風をおこすかとかということですが、佐藤先生は造風機という表現をされましたけれども、その辺に移りたいと思いますが、佐藤先生からひとつよろしくお願いします。

 

 

○佐藤誠治

 

 私は地域づくりというのは地域資源をどうやって生かすかということに尽きるんじゃないかなというふうに思ってます。そういったときに地域資源というのは一体何かといいますと、人であり物であり空間である。で、その人と物と空間、これが独立してそれぞれあって存在しているだけでは風がおこっていかない。やはりそれをいかに結びつけるかということが大事になってくるんじゃないかなと、あるいはただ単にそういう資源を見るだけではだめ、正当な評価だけじゃなくってちょっと違う視点から評価してみるということも大事じゃないかな、そういう違う視点から見て、そして結びつけていくということが大事じゃないかなというふうに考えてます。したがって、どういうふうに資源を評価するかということをまず考えてみたときに、第6分科会の大山町では段々畑で稲作、非常に条件悪いというところで梅と栗を植えることによって地域づくりを成功さしたと。

 それから、昨日私どもの第5分科会(天瀬町)ですけれども、私ども210号線の通っているまわりしか見なかったわけですが、行ってみますと非常に立派な高原がありますし、高塚地蔵なんていうお地蔵様もあるわけですけど、そういうものをいかに評価して地域づくりに結びつけていくかという視点で今やられているわけです。

 もう一つ、そういう資源をどうやって結びつけるかという話なんですが、特に私が言いたいのは、空間と空間を結びつけるということが大事であろうと。先ほどの天瀬の場合は高速道路が本年度開通予定です。高速道路をおりた人を、高塚地蔵等で今大体200万人の観光客があるわけですけれども、温泉地域、あるいはその南に広がる五馬高原というところがあるんですが、そういうところにどうやって引き込んでいくのかということが課題になってきとるわけです、高塚地蔵とそれから中心部の温泉街、さらには五馬高原というものを結びつけていく、そういうことによって風をおこすボルテージといいますか、圧力がこう高まっていくんじゃないかなということがあると思います。

 それからもう一つ、人と人とを経びつけるということも大事でありまして、今回の地域づくり交流会議が行われてるこの地域というのは御多分にもれず過疎の地域なんですね。で、絶対的に人間の数が少ない、そういう少ないところで地域づくりやっていくというのは非常に難しいわけですが、ただ単に地域の人口が少ないということだけでとどまるんじゃなくて、周辺地域の人口と結びつけることによって地域づくりのボルテージが高まっていくんじゃないかと、そういう地域と地域を結びつけるための仕掛け、これやはりネットワークだと思うんですね。道路ネットワークをどうやってつくっていくかということが大事だと思うんです。日本全体のネットワーク構造を見てみますと、東京を中心としてあるいは大分県で言いますと大分を中心として放射状のネットワーク、ヒエラルキー型のネットワークというふうに言っていいと思いますが、そういうヒエラルキー型のネットワークだけじゃなくって地域と地域を結びつける横のネットワークですね。こういうものをつくっていくことによって、定住人口は少ないかもしれませんけども、流動的な人口といいますか、結びつけていくことによって、あるいはその圏域を広げることによって実現できる人口の規模があるだろうと、それが大事じゃないかなというふうに考えてます。

 それから3点目は造風機という話を先ほどちょっとしましたけども、やはり風がおこるためには地域の人が元気が出るようなそういうものがなければいけない。都市では今MDXといいますか、ミクストユースディベロックメントというふうに言ってるわけですが、ショッピングだとかホテルだとかホールだとか公共施設だとか、あるいは文化施設、そういうものを一体的に整備して都市的な魅力を演出するということをやってる開発が、これは1960年代からアメリカで、はやり出した開発の型なんですが、日本でも随分あちこちで、都市ではやられてます。そういうものを私は農村でつくっていく必要があるんじゃないかなと思う。これを私は新しい形の造風機であるというふうに言ってるわけです。実はこれは現在大分県ではそういう形で進めている事例があるわけです。これは一昨年から、すぐ近いところにある山国町、それから有名な湯布院町ですね。それから南の方の漁村の鶴見町、その3つの町がモデル事業としてアメニティタウン構想づくりやりました。

第1回目、私もその中でいろいろ提言をしたわけですけれども、そのときは造風機と言いませんでしたけれども、農村地域において非常に都市的な生活のパターンを欲してると、そういうときにやはり先ほど言ったようなMXD型の施設が必要であろうというふうに提言したわけです。

 で、現在山国町では役場だとかホールだとか図書館だとか歴史民族資料館、地域教育施設に加えてレストランだとか物産館、そういうものを一体的に整備しようというふうにやってます。これは過疎地域の人々が触れ合う場を触れ合いの場をつくるということですね。ですから、施設をばらばらに配置していてはそういうクロス(触れあい)の場が生まれないわけですね。そういうクロスをすることによってにぎわいができるし、活力につながっていくという、非常に短絡的に言ってますけども、そういうふうな人と人との触れ合いの場をつくると。さらにそういう場に外の人間、外部の人間を引き込んでいくということが大事なわけで、山国町ではスケートリンクをその施設に併設してつくろうというふうにしてます。

 で、そういうふうに人と人が触れ合って、そしてボルテージが高まって、そして風につながっていくという非常に抽象的な表現ですけれども、そういうふうな場が農村地域にどうしても必要であるというふうに考えております。

 

 

○小坂善治郎

 

 どうもありがとうございました。

 じゃ山田先生よろしくお願いします。

 

 

○山田吉孝

 

 先ほどの私の話を補足しながらちょっと申し上げたいと思うんですが、皆さんのところで既に進んでいると思いますが、もう一度皆さんの地域の財産目録をつくっていただきたい。そして、それを点検しておきたい。それぞれの村や町で出されている村誌ですとか町誌ですね。そういうのを見てますと、これなんか使ってイベントをやったり、ほかの新しいことと組み合わせたら何かやれんじゃないかなと思うようなのがよく見つかります。私が正しいかどうかは別ですけれども、それぞれの方々あるいは外のしかるべき方にそういう話をしてみていただいたら新しいものが見えてくるんじゃないでしょうか。まだまだ財産目録をつくっていてもほこりをかぶったまま、つくったら途端にどっかの本棚の戸棚の隅に置かれて、そのままになってるというようなものがたくさんあるんじゃないでしょうか。

 それからまた、財産目録をいろんな形で目的用途にあわせてつくっていくことが必要だと思います。私が申し上げてるのはそういう記録というだけじゃなくて、もちろん地域の自然とか環境とか歴史とか文化とか生活とか経済とか、みんなそういうものをひっくるめて申し上げているわけです。そして、財産目録によってストックされ、そのストックの中からどういう新しいものを見つけ出して、例えばイベントに結びつけていくかということが大事だと思います。

 それからまた、イベント1回こっきりで終わってしまう、これは税金のむだ遣いであり、皆さんがお金を出してなくても体を使って無償でボランティア的にやってる方々がたくさんいらっしゃるわけですから、それのむだ遣いということになります。

 ですから、イベントは必ず、どうストック化できるかっていうことを考えながら企画をすべきだろうというふうに思ってます。ただやってお祭り騒ぎやってああくたびれたと、そんで、後飲み事やってまた来年と、こういうのがちょっと多過ぎるんじゃないでしょうか。

 それから、リーダーについて、3つだけ申し上げたいんですが、1つはリーダーの質です。きのうの分科会で熊本のパネラーの方が熊本は自然と人材に恵まれておりますと言われましたが、熊本でも各市町村地域別に見たら、そんなことないよというとこがあるかもしれません。ですから少ないリーダーという資源の中で問われるのはその質だというふうに思います。

 それから、2番目にはそのリーダーの連合です。これはあっちこっちで感じます。ボランティア的にやってるすばらしい方が各市町村にたくさんいらっしゃいます。ところが手をつながないんですね。僕らですと経営資源と言われるが、人、物、金、ソフト何持ってんだと、俺たちうぬぼれていきがってみたってカにならんですそれは、やっぱりつながらなくちゃだめですよ。それを申し上げたいんです。リーダーの連合。もちろん地域連合ということもございます。

 3番目は、住民の知る気、やる気ですね。ぜひリーダーの方は住民の知るカ、やるカ、それを育成するように頑張っていただきたいと思います。知るっていうことは自分が一つの判断の軸を持っていて、その上でじゃなければ本当に自分に必要な情報というのは獲得できないし、えり分けられないわけですから、知るカ、それからやる気ですね。きのう私ども第1分科会は官・民協働による地域づくりということをテーマにして日田市の例を軸にしましていろんなお話が出ましたけども、幾つかの成功した例のお話を伺ってますと、まずリーダーが先にひっぱり、途中から手を結んで、そしてすばらしい成果に結びつけると、その過程の中でメディアの力を利用していろいろやられたということもあるそうですけれども、やっぱり住民がそういう新しい情報効果等を日田との関係はどうなってんだとか、高速道路に通り過ぎられちゃったらどうなんだと、いろんなことを知るようになって、参加し出すということが出てきたというふうに伺いました。この住民の知る気、やる気、本当はこれが一番大事だと思うんですね。しかし、だれかがそれを引っ張らなくちゃいけないわけです。そうすると、最初に申し上げたリーダーの質、リーダーの連合ということが必要になってくるんじゃないかと思います。

 それから、大山町は、すばらしい実験をずっと続けてきておられますけれども、これはやはり町のスケールの問題で、やはり官主これは民援だろうと思います。で、今、民も一緒になって売り出してるということじゃないかと思います。まあいろんな形あると思うんですけれども、この協働というのはただ官と民が一緒になるってことじゃなくて、きのうも私どもの分科会でいろいろ出ましたけども、やっぱり各パネラーの方がおっしゃってたことはやっぱり住民をどう巻き込むかと、民が主導型であるにしろ官が主導型にしろ、あるいは協働型であるにしろ、住民に視点をあわして地域住民の生活を豊かにし暮らしやすくするためにやっとるわけですけども、その住民が動かないんではまた、住民から離れてしまってはいい仕事はできないということはきのうの分科会で確認されたというふうに思っております。

 例えば商品を考えていただければいいですが、最近は商品のサイクル短くなっておりますけど、地域は永遠であるといいましてもよく見ておりますと、今まで人が来てくれてうまくやってきたソフトがそのまま使い物になるかというと、そんなことはありません。常に新しい付加価値をつけ、できれば抜本的に新しいソフトを常に考えながら、お客さんが来てくれる間に次のものを考えていかなけりゃ、普通の会社だったらつぶれちゃうわけですけどね。やはり企業のそういう厳しさに私たちは学ぶべきじゃないかというふうに思っております。

 

 

○小坂善治郎

 

 どうもありがとうございました。

 じゃ峰尾先生よろしくお願いします。

 

 

○峰尾一路

 

私も同じようなことを申し上げようと思ってたんですけども、地域づくりというのは、これはいわゆる促成栽培ではないわけですね。ですから、その日その日がやっぱり真剣勝負でなきゃいけない。これが非常に大事なことじゃないか。

 私はいつも申し上げるんですけども、地域づくりは紙を1枚ずつ重ねていくようなもんだ。1枚の紙は非常に薄い物ですけども、それが365あるいは5年、10年とたつとこんなに厚くなってくると。で、最初に置く1枚、次に置く1枚、これがずれるととんでもない物になってしまうと。そして、何百枚も重なった紙をきちんと後からそろえるちゅうのは、これは大変なエネルギーが要ります。しかし、この1杖を置いて、その次の日の1枚を置くときにきちんとずれないように置くというのは、これは簡単にできることで、ですから、私たちやっぱりそういう歴史、地域づくりの歴史を一枚一枚積み重ねてる現場の人間としての自覚を持つということが非常に大事じゃないのかなと。

 で、どうやってやるかということ、私は2点申し上げたい。

 第1点は、地域の文化を深めていくという作業、これが大事だと思いますね。今地域哲学というものを確立させようというふうに言われてることが多いんですけども、その前に、みずからの文化、固有の文化というものを見つけることが大事。

 それから第2点目は、これはお二方と同じ意見ですけども、市民参加、住民参加のシステムをどうつくり上げていくかと同時にそれをどういうふうに結びつけていくかという、ネットワークづくり、これの大事さはわかるんですけども、どうやってというのが非常に難しい。この2点を申し上げたいと思います。

 で、まず地域文化というものを深く掘り下げるのはどういう作業があるか。山田さんは財産目録をつくって、そしてそこから掘り下げていけというふうにおっしゃる。まさしくその通りだと思います。やはり自分の町の体質、人間にはなくて七癖で得意わざもあるし、不得意わざもあります。同じスポーツでも相撲の好きな人、得意な人もおれば、野球の得意な人もおるように、やはり地域にもそれぞれ向き向きがあると思うんですね。ですから、あんまり飛び離れた目標だとか、まちづくりというものはしない方がいいんですね。やはり自分の体質に合った、あんまり人のまねとか、あるいはよそがやってるからうちもちょっとやってみようかとか、いわゆる流行とか、そういったものとは無縁なところに僕は地域づくりはあるんじゃないのかな。もちろん、たまにはイベントも必要だしお酒を飲むことも必要だし、たまにはちょっとお祭り騒ぎ、まあちょっとむだだなと思っても花火を揚げて楽しむとか。そういうことは僕はやっていいと思うんですけども、そればっかりをやってたら結局何も残らない。冒頭に言いましたように大地に根を張った自分の体質というものをよく知るということ。これが大事じゃないかな。

 私は玖珠町とのかかわりが非常に深いわけですけども、玖珠町は童話の里づくりというものに一つのまちづくりの基盤を置いております。これはやっぱり一つの童話の里をつくるという地域哲学を確立して、もう四十数年の歴史がある。その童話の里を一つの縦軸にして、あとはその童話の里という哲学を時間的、空間的にどのように広げていくか、こういう工夫をやっぱり今からやっていかなきゃいけない。同じように、大山町、中津江、天瀬でもそうだと思います。一つの自分の地域の哲学というものを求めたら、それをどのように展開していくかという、そこが大事なんです。まさに一村一品、一村一風の原点である大山町のまちづくりなどは典型だというふうに思います。幸いにして大分にはそういう自分の町の地域づくりの哲学を持っていらっしゃる町村が非常に多いと思います。しかし、そうは言っても実際問題として、人口は減ってる、あるいはいろんな過疎の悩み、あるいは農業というものをどうするかという問題いっぱいありますけども、しかし、その中でも本当にやってるところは非常にうまくやってるわけですね。

 例えば、玖珠で言えば、いわゆるメルヘンローズですね。バラづくりを通して日本一というか、まちづくりをやっていこうという、そういう哲学を求めて、もっと勉強する必要があるんじゃないかと、その勉強の仕方というのはいろんな勉強の仕方があります。日常の活動を通して、いわゆる身につく本当に血となり肉となる勉強があるわけですね。やっぱりそういう勉強を重ねていく必要があるんです。まさしくこういう交流会議、こういうシンポジウムを通して皆さん方が学んでいかれる、これも一つの大きな勉強のチャンスじゃないかと。

 で、自分というものを確立すれば、やはり他人の論理というか、あるいは他人の誘惑というんですかね、どうもよそでやって派手にやってることが非常にうらやましく見えるときがあるんですよね。ところが、それは自信がないから人がうらやましく見えるわけで、自分に自信があればちっともうらやましくも何ともない、自分はコツコツとやれば大丈夫なんだという、そういうきっちりした哲学というものを持っていただきたい。

 それから、2番目の市民参加ですけども、これ非常に難しいんですね。この市民参加のシステムづくりがもしもうまくできたとすれば、それはまちづくりの80%は成功したと言えるわけですね。どんなアイデアも例えばどんな総合計画が、立派な作文ができても市民参加がなければこの町は動かない。

一つの例を申し上げます。私は玖珠とかかわっておりますから玖珠のことを申し上げて申しわけありませんが、玖珠は2万8,000ヘクタールですか、非常に広大な地域があって、非常に自然に恵まれたところですが、このぐらいの面積のある町だったら当然ゴルフ場の1つや2つはあっていいんですけども、ゴルフ場をつくらなかった。これはやっぱり大変な先見の目があった。したがって、そういう乱開発といったものからは、いわゆるバブルの汚染は受けてない、そういう地域哲学を持ってると思います。

 そこで、私がかかわりました総合計画の基礎調査報告書、これは中間報告なんですけども、21世紀の玖珠町についてのいろんな提言をここに書いたわけですけども、その一番最後に参考資料として、アンケートをとったんですね住民に。何を書いてもいいと。そうすると、住民の人が、もうとにかく町の悪口をいっばい書いてるんですね。普通ならこういうところに載せたくない内容のものですね。この中間報告にはあえてそれを全部載せているんです。これは町の自信のあらわれでもあろうかと思いますけども、これは一つの立派な参加システムの手本なんですね。当然21世紀のまちづくりだったらきれい事で埋まるのが普通です。しかし、そんなに現実はきれい事じゃない。そのきれい事じゃない部分を最後に載せた、これはただ載せたというだけじゃなくて、載せる意思がそこに働いたと、やっぱり住民を参加させなきゃいけないと。まちづくりには参加させなきゃいけないなあということで載せたんですね。これは大変な町の英断だと思います。私もこれは載せなさいとは申し上げましたけども、載せるか載せないかは、それは町の自由だと。しかし、それを見事に載せた。これは一つの生き方だと思います。別に玖珠町の生き方が最高だとは私は申しませんけども、そのモデルとして御紹介申し上げます。まあ、こういう参加の方法があるんではないかと。

 それから、ネットワークづくりについては、いろんな方法があるでしょうけども、やはり町にもう少しプロデューサーという、プロデュースする機能を持った人材を育てる必要があると思いますね。

 例えば、先ほどちょっと控室で話題になったんですけども、どっか能登の方にはまちづくりの非常に熱心なところがあって、そのプロデューサーをしてる方離婚までされてまちづくりに熱心だったと、まさか離婚まで進めやしませんけどもね。でも、それぐらい寝食を忘れてこのまちづくりのために自分というものを打ち込んでいく、そういうプロデューサー。私はいつもまちづくりにはどんだけそこにばかがいるかということをいいます。その町に何人ばかがそろってるか。ばかが多ければ多いほどその町はよくなるというふうに私は思います。

 

 

○小坂善治郎

 

 どうもありがとうございました。                       ‘

 3人の先生のちょっとキーワードをいただきますと、佐藤先生はクロスする、交流する空間と空間を結ぶ、人と人を結ぶということ。

 それから、山田先生は財産目録という点検、これとてもユニークな発想だと思います。

 それから、峰尾先生は飛んではいけないというようなこと。それから恥をさらそうじゃないかということなんです。実は私ある村でこういう話に出くわしたんです。ちょうど朝行きましたら村の人たちが目を真っ赤にしてこういうことを言うんですね。村と村をつなげる道路をつくるのに役場の人たちがどういう道路をつくったらいいかという提案をしましたら、村の人たちがけんけんがくがく議論しまして、つまり舗装道路でいくか砂利道でいくかという、真二つに分かれたんだそうです。そして、砂利道のいわゆる自然の関係をぜひ残してほしいということと、舗装道路にしてほしいということで、朝3時、4時、5時までかかって、結論が出なかったんだそうですが、その後結論が出たそうでございます。その解決策はつまりどういうことかと言うと、坂になってるところは舗装にしようと、そして、平らなところは砂利道、こういう妥協案を出したんだそうです。で、最後に村がみんなで検討したらどうせ舗装するんなら、何かこの砂利が土の色が浮き出すような舗装技術、3倍ぐらいかかるんだそうですが、予算をつけた、そして、平らなところは砂利道にしたという話なんです。とっても感動的だったわけですね。今のようなことは本当に住民参加による地域づくりができるかなということで感動してきたわけですけれども、いい話だなあと思ってます。

 では、もう時間がないんで申しわけないですが、その風は地域に受け入れられるかどうかという問題ですが、地域の皆さん、要求条件が非常にあるんですね。それは大体4つぐらいに分けられるんじゃないかと思うんです。必須要求というのがありまして絶対最低必要なものがございますね。

 それからもう一つ、当然要求、これは満たされたいという当たり前の条件があろうと思います。

 もう一つは要望要求、ちょっとわがままかなと思うんですが、しかし、満たされても当然じゃないかというような要求があるわけですね。

 もう一つは願望要求です。どうしてもこうなってほしいなという不可能かもしれないけど何とかしてほしい、手にしたいというような要求があろうかと思うんですが、これを全部地域に満たしていくというのはとても大変だと思うんですね。だから、皆さんがどういうように風を受けとめるかというようなことになろうかと思うんですけれども、それぞれの先生方にひとつ独断と私見をもって、一言ずつ御発言いただきたい。

 

○佐藤誠治

 

 先ほど風をおこす造風機というような話をしましたけども、やっぱり風をおこしたら今度はそれを流通させる必要があるわけですね。要するに流す必要があると。で、先ほど道路の話をちょっとしましたけれども、道路のネットワークをヒーラルディー型からラチス型といいますかね、すべての地域と結びつくという、そういうタイプのネットワークですね。ラチスというのは組格子というふうにいいますけども、例えば5つの地域があれば、その地域をそれぞれ結んでいくという、そういう形のネットワーク、これは実際は限られた空間ですので全部それができるわけじゃないんですけれども、コンセプトとしてそういうネットワークづくりをやる必要があるだろうと。

 それともう一つは、地域に居住していくという意思をはっきり確立できるような地域をつくらなきゃいけないと。ですから、今過疎地域においては集落崩壊というふうな、時期に差しかかっているところもあるわけですね。したがって、今からは集落の再編成、町内移住というところまで含めて考えなきゃいけない時代になってきつつあるわけですね。要するに、生活をする場をいかに確立していくのかと、昨日天瀬の分科会では下水道整備だとか、あるいは道路整備、そういう身近な集落空間をきっちり整備していくということが一つの提言としてあつたわけですけれども、この生活する拠点をきっちり整備するということで、先ほどのラチス型ネットワーク、それと地域の生活の拠点をきっちり整備するということ。私はもう一つ、先ほど言った造風機の部分ですね。魅力的な町の中心、そういうものを整備していくことによって地域の、居住の意思がはっきり出てくるんじゃないかなあというふうに思ってます。

 

 

○小坂善治郎

 

 どうもありがとうございました。

 じゃ山田先生一言お願いします。

 

 

○山田吉孝

 

 きのうの分科会でパネラーの方からマスコミを使って住民の意識を変え、そして参加の方向に向かわせたと、こういうお話がございましたので、情報発進というようなことで、ちょっとごく短くお話ししたいんですが。

 口コミメディアと、マスメディアの話についてごく簡単に申し上げます。

 口コミメディア、フェイス、トゥー、フェイスのメディア、一番効くと思ってます。観光客が来て、そこでいかにすばらしいイベントがあっても、たった一人の市民の態度でそのお客さんは来なくなるかもしれません。本当に。そういう意味ではマスメディアの影響よりも口コミメディアの影響の方がプラスにしてもマイナスにしても大きいと思います。 3つ申し上げたいんですが、一つは解放、開かれてるっていうことですね。要するに私が申し上げたいのはいわゆる村根性の打破ということです。私が行ったら異人さんが来たと、こういうような感覚では、これは人を逆に遠ざけることになるだろうと思います。

 2番目にはチャーム、魅力です。これは人も含めて魅力をもつことが必要だと思います。

 それから3番目にはこれは声を大にして申し上げたいんですが、ホスピタリティー(もてなしぶり)。県下の有名な観光地ですばらしい観光資源をお持ちのところで、日曜日に参りましたらば、食べるお店食堂に入ったんですけれども声もかけてくれませんし、入って何ができるか聞いても要領を得ない返事しかない、これが観光都市かと私は思って、その町の村おこしのリーダーの方に文句を言った覚えがあるんですけれども、週休2日制の世の中で一番稼ぎどきに店を閉ざしちゃって、お客さんを相手にする商売じゃないですね。そういう町っていうのは多分たくさんあると思います。ですから、ホスピタリティーっていうことをぜひ強調したいと思います。

 もう一つ、マスメディアの方は項目だけ申し上げますが、ニュースを私たちは伝えておりますけども、ニュースはつくるもんです、悪い意味でじゃないですよ。そして、さっきもちょっと申し上げましたが、必ず付加価値をつけてつくるもんだというふうに思います。

 それから、そのプレゼンテーション(企画・計画の提示)、要するに取材者に対して見えるようにする。あるいは情報を欲しがってる人に対して受け取りやすくするという工夫が全く足りないというふうに思います。

 それから、使い分ける。電波メディア、活字メディア、それから新聞社によっても全国誌ですとか、ブロック誌ですとか、地方誌とかいろいろございます。どこをメーンターゲットとしてこれを売り込んだら一番大きく自分たちの意図に合うように扱ってくれるのかと、そういうことを考えなくちゃいけません。

 それから、もう一つは、できればそういった情報を欲しがってる人たちを自分たちの仲間に引き込むということですね。地域のイキに感じて一緒になって地域おこしをやり、そしてまた自分が伝える側になって記事を書き番組をつくってる人があちこちにたくさんいるようです。そういう仲間をたくさんつくるいうことが必要ではないでしょうか。

 で、最後にもう一つ、マスメディアに載せるっていうんでしたら、企画の段階から仕掛けないととてもついていけません。やっぱりそれぞれジャーナリズムはジャーナリズムの立場がありますから、別に皆さんの広報誌ではございませんので、そこは企画の段階から持ちかけてメディアの側が受け取りやすく伝えやすく消化しやすいような格好で共同作業でもっていかなければ、皆さんにとっていい報道にはなっていかないだろうというふうに思っております。

 

 

○小坂善治郎

 

 どうもありがとうございました。

 峰尾先生、最後に一言お願いします。

 

 

○峰尾一路

 

 きょうは風がテーマですけども、風のほかに必要なものがあります。それは光。風格づくりといいますけれども、その風格は何によってもたらせるか、やはりこの文化戦略、いわゆる文化によるまちづくりしかありません。文化で飯が食えるかなんてな議論があるんですけども、十分食えるんですね。いわゆる教養主義的な文化、音楽とか絵画だけに狭まるんじゃなくて、要するに生活の文化化、あるいは行政を文化化するということによって風格をつくっていくという、それが光になるんですね。観光といいますけども、あれは単なる物見遊山じゃありません。地域の光を国の光を見るというところから観光という言葉が出てきているんですね。ですから、風のほかに光が必要だと。

 それからもう一つ、公務員も異業種交流ちゅうのをやってもらいたい。各セクションであれはまちづくりで企画のことやから、あれは振興課のやることじゃからということじゃなくって、農業も観光も総務もみんな一諸になってやるという、そういう庁内の異業種交流というものをやってもらいたい。

 それから、まちづくりちゅうのをやはり楽しくやらなきゃいけない。何か義務とか追いまくられてるというような、そういうことじゃなくてやっぱり自分が楽しんでやるということをやっていただきたいと思います。どうぞ風とともに去りぬなんてなことにならないようにお願いしたいと思います。

 

 

○小坂善治郎

 

 どうもありがとうございました。

 時間がきたんで、若干コーディネーターとしてまとめさしていただきたいんですが、多分地域にとっても大切なものには佐藤先生が申されてるように基本的に環境整備というようなものが必要だろうと、空間をどうつくっていくかという、これは多分ハードテクノロジィーが中心になるだろうと思うんです。そして、情報とか楽しさっていうものはソフトテクノロジィー、あるいはソフト戦略と言っていいだろうと思います。ですから、ハードとソフトの融合の中で多分魅力ある地域ができるだろうというのが原則にあるだろうと思うんです。しかし、果たしてこれで21世紀大丈夫だろうかというようなことを考えたときに、その上に何があるだろうかというときに個々の地域が持っている地域資源ということを3人の先生が申されてますが、多分そのキーワードのコンセプトに文化ということが出てくるんではないかと思うんですね。多分文化戦略がそのハード、必須条件であるハードであり、それから情報交流を発進するソフト戦略であり、そしてコアになるものが多分文化戦略だろうと。むしろ自然で豊かな、そして過疎と言われるかもしれませんが、そのこと自身が多分重要な戦略になるんではないかというような気がしております。

 実は最後に私ごとで大変申しわけないんですが、ある感動した老人の話を申し上げてまとめさしていただこうと思ってます。円が100円になったときに、その地域に来た工場はとても地域を活性化さして就業雇用をつくったんですが、バブルの影響が出まして地域の人たちが働けなくなった、そしたらまた若者が都市に向かっていくだろうという会話が老人の中で出たんです。しかし、この町ではそれだったら老人だけの村をつくってしまおうという提言をして、そのプランに着手したわけです。なぜかと言ったら、若者は回遊魚と一緒だから若いうちに都会という大海でくたくたになって疲れて帰ってくればいい。そして戻ってくるところだけほ私たちが守ろうじゃないか。それでそのときにそばをつくることを考えて、そばの店が大繁盛していたときに、実はその経営者が輪入されるそばの原料が2倍であってもペイ(見合う)をするという、いわゆる商業の発想で十分ペイするという話をしたんです。

 そしたら、老人たちが、もしかしたらできないと思っていたこの地域にそばができるかもしれないと言ってそばの栽培を始めた、つい最近見事に一面花が咲いたと。これで何とか行けるぞということになったんです。その話を聞いた行政の人たちがいろいろシュミレーションをして、村で老人福祉医療費にどれだけ使っているか計算しようじゃないかという計算をしたんだそうです。もし老人が健康になるんなら老人福祉医療が半減できるんかもしれない。だったらその金を契約栽培に逆に積極的に前向きに出していこうではないかという相談も出てさまざまな検討がされたんだそうです。つまりプラスマイナスのマトリックス相関関係をつくっていったらどうも老人たちの言うことが正しいんではないかというような話を聞きました。

 多分3人の先生が申されたことはさまざまな要素とさまざまな考え方をいろいろな形で融合させていくところに知恵とそして何かこう見通しが出てくるんではないか。逆に勇気を出していただければというようなお話だろうと思います。

 きょうはとてもすばらしい3人の専門家の先生のお話を聞いて、まとめに至らないかもしれませんけれども、多分私たちの地域がこうあるべきだというプログラムと考え方を持ったときにそのときに風がおきて風が吹くんではないかと、かように思うわけでございます。まとめになったかどうか知りませんけども、3人の先生どうもありがとうございました。

 これで終わりたいと思いますが、どうもありがとうございました。

 

 

○司会

 

 どうもありがとうございました。

 ただいまのお話の中にたくさんのヒント、そして励ましの言葉があったように思います。どうぞ皆様いま一度コーディネーターとパネラーの皆様に盛大な拍手をお願いいたします。

 本日はまことにありがとうございました。

 続きまして、閉会のあいさつです。

 地域づくり西日本交流会議日田玖珠大会実行委員会の九重町長坂本和昭が閉会のごあいさつを申し上げます。

 

 

○日田玖珠大会実行委員(坂本和昭)

 

 一言お礼を申し上げたいと思います。

 地域づくりに熱心な皆さん方、九州各県はもちろんのこと、遠くは北海道の十勝から、あるいはまた東北から北陸から、そしてまた関東からたくさんの方にお集まりをいただきまして、この九州西日本交流会議が無事盛会のうちに終了いたしましたことを心からお礼を申し上げる次第でございます。

 昨日は貴重な平松知事の一村一風のお話、そしてまた体験といたしまして苦労してイベントをつくり上げたあの氷祭り実行委員長のお話、そしてまた皆さん方におかれましては日田市、日田郡、そして玖珠郡9つの分科会に分かれまして、それぞれの地域での討論をいただき、そしてまた交流会をいただいたわけでございますけども、お話に聞きますと、コミュニケーションも、あるいはまたノミニケーションも十分行われたということで、心から主催者といたしましても厚く厚くお礼を申し上げる次第でございます。

 こういう会議がたくさんあるわけでございますけども、それぞれ言いっ放し、聞きっ放しではだめでございまして、それぞれ皆さん帰られまして、それぞれの地域から新しい風がおこることを期待をいたしておるところでございますし、またその横のつながり、それを大事にしながらこれから先大きな風になることを私どもは期待をしているところでございます。

 最後になりましたけども、この大会を催すに当たりまして、実行委員会の皆さん方に大変お骨折りをいただきましたことを心から感謝を申し上げましてお礼のごあいさつにかえさしていただきます。まことにありがとうございました。

 

 

○司会

 

 これをもちまして地域づくり西日本交流会議日田玖珠大会の全日程を終了いたしました。