この記事は、1998年3月27日に大分県竹田市で行われた、九州中央地域連携推進協議会主催の、
「地域連携による新たなる挑戦」−九州中央77シンポジウムin竹田−
の第2分科会の記録(概要)です。

第2分科会

テーマ:地域連携と産業振興
 
 
 

コーディネーター :佐藤誠治(大分大学工学部教授)
バネリスト     :秋月睦男(大分経済同友会代表幹事)
            小林正秋(延岡商工会議所副会頭)
            高田英機(熊本日日新聞社メディア推進室長)
            山下憲一(西日本新聞社大分総局長)
            倉嶋清次(九州農政局農政部長)
            菅沼義夫(九州通商産業局産業部長)
            山本雅史(九州地方建設局企画部長)

 
 

はじめに
 

佐藤/  第二分科会のテーマは地域連携と産業振興です。他の2つの分科会は割と地域連携のイメージが組み立てやすい感じがするのですけれど、この第二分科会は若干難しい部分があるかとは思います。しかし、具体論を含めてそんなに難しい話をするつもりはありません。まず、この地域連携の意義と展望ということで、私の方でいくつか問題提起をさせていただきます。まず第一点は、なぜ連携交流なのか。やはり一人でやるのはなかなか困難だけれども複数の主体がスクラムを組んでやるということによって生まれるのではないかと。連携には未来があると思います。2つめは行政の枠組みを超えた新しい圏域論が必要だろうと思います。現在、広域連合などの新しい枠組みも出てきてますけどそれに対してもやはり県を超えてつながっていくということはなかなか難しい状況にあります。要するにいろんなニーズに沿った新しい圏域をどんどん作っていっていくと。そういう考え方が望まれるんじゃないかと思います。3つめは地理的連携です。空間的なつながりの中での連携というものに加えて、新しい連携のスタイルとして空間飛躍的連携というのが必要じゃないかと思うんです。どこか離れたところどうしで直接に連携していくスタイルが出てくる可能性があります。それから、当然国際化というものの関連も考えなきゃいけない。キーワードとしての国際化、非常に重要だし現在進んでいます。しかし、今般の国際通貨危機の問題が起こってくると一気にこの国際連携が冷え込んでいくという状況があります。ですから国際化とはいいましてもやはり国内の地域の連携、九州内の連携というのも、クールに捉えておかなきゃいけないじゃないかと思っています。地域連携の重要性が国際化とはいいながらもでてきているということだと思います。次に地域連携と産業の部分です。産業には元々産業連関という考え方がありまして、必ずしも地域との結びつきというよりも産業、あるいは企業そのものの関連の中で原材料だとかあるいは製品の流通閑係を通して作り上げてきた閑係があるわけです。特に第二次産業においてはそういうことがいえるんじゃないかと思います。
観光産業につきましては、私は今回のスタンプラリーを通じて出来上がったつながりをですね、より大事にして発展していくことが重要じゃないかと思っています。いわゆる観光の中の行動の中で出てくるルートを作っていくこと自体が地域連携につながっていくだろうと思います。今日は7人のバネリストの方々にお話をしていただきますが、まず、地域連携をどのように捉えるか、その意義と役割ということにつきましてまず最初に語っていただきます。そして今度は発展的に産業振興との課題に結びつけていただき、最終的に地域連携に閑する具体的な提案をいただく、と、3回に渡って発言していただく形にしています。
 
 

なぜ連携交流なのか

秋月/ 大分商工会議所が定期的に交流しているテキサスのオースチンに、オースチン・サンアントニオ回廊協議会という地域連携があるんですが、オースチンから南へサンアントニオの間に2本の国道をまたいで11の市町村がありますが、教育や医療や上下水道など共有の問題については、お互い共同してやろうという発想から生まれた協議会なんです。第一にこういう地域連携にはひとつの連携の軸が必要だと思います。それがオースチンでは国道なんですね。この国道を一つの靭帯にしてそこに配置されている市町村が国道を共有の施設として使うわけです。そして、この軸線上の地域が連携する。このことが大切だと思いました。この77地域の場合、連携軸のひとつは国道ですね。
57号、10号、218号と回廊的な国道があるわけで、これを最大限に利用する必要があるんではないでしょうか。もう一つは、77の市町村があるという事は、77の情報発信源があるという事で市町村の壁にとらわれずにこれをうまく利用できたらと思います。ボーダレスということでいけば、77の圏域内に郵便局が566もあるんです。郵便局というのは縦割りではなく広い面として配置されています。ですからそういう横割り的な拠点というものを今後活用していけるのではと思いました。それから、オースチンなんかの経験から見て、道の駅、里の駅なども連携のひとつの節として活用できるのではないかと思います。

小林/ 地域連携をどのように捉えるかということで、延岡周辺でのニュースで考えてみたいと思います。日向市の細島というところからフェリーが出ているんですが、実は最近、神戸〜細島のカーフェリーが廃止されるというニュースがでてまいりました。以前は川崎、大阪南港、神戸と3カ所に1往復ずつあって、かなりの物量が運ばれていました。ところが最終的に1日おきの1便になっちゃって、インフラとしてはすごく貧弱なものになってしまったわけです。ところがこれから九州横断自動車道、東九州自動車道をつくって、さあ荷物が集まるというときに、かつてあったインフラが細っているわけです。これではどうにもならない。我々が持っているインフラをとにかく上手に使っていくそういうことも考えなければならないのではないでしょうか。

高田/ 熊本市の漁民の人たちが緑川の上流に漁民の森を植えようという連携への取り組みを進めています。白川については、阿蘇を源流としたまさに、この77市町村の中の熊本版となる川なわけです。こちらは流域圏の話し合いがはじまってまだ1、2年なので、これからが楽しみです。こうした日で、77市町村を見ると、五ヶ瀬川とか大野川とか大きい河川がありますので、4河川流域で地域を考える舞台装置をつくってもいいんじゃないかと思います。ラグビーの用語にスクラムというのがあります。そのスクラム組んで一歩前へ。そうすれば連携の姿も見えてくるのではないでしょうか。

山下/ 昨年12月まで長崎におりましたので、これまでの取材を通して実感した連携の必要性についてお話ししたいと思います。佐世保市にあるテーマパーク・ハウステンボスには年間400万人ほどの観光客が訪れます。ところが、周辺の平戸など旧来の観光地でも増えたかというと、決してそうではありません。個別の観光地だけで情報を発信するのではなく多くの観光客を吸収するハウステンボスと組み合わせた周遊観光ルートをつくったり、観光地同士がスクラムを組んで情報を発信することが大切だと感じました。連携の必要性は観光面でもいえると思います。この77の市町村で取り組んでおられるスタンプラリーなどはさらに継続、発展させてほしいですね。行政の枠を超えた取り組みでいえば、文化施設や体育館などを近隣自治体が機能分担役割分担して整備していくのも連携のひとつのイメージだと考えます。

倉嶋/ 私は、命を育む地域連携ということを提起したいと思います。上流と下流の閑係、都市と山村の閑係、そういうなかでエコロジカルな循環、つまり命を育む連携ができたらと思います。もともと私たちは地域で採れたものを地域で食べるというのが基本であったわけで、そういう意味でこの77の市町村には都市もあり農村もあるわけですから、食というキーワードから連携閑係を考えてはどうかと思います。

菅沼/ 基本的に地域連携を考えるベースというのは、第1点はなんらかのプロフィットというか物質的な面、得るべきものがなければならないということです。ふたつ目は地域の市町村で、体育館など同じ施設をダブってつくらないように配慮すべきだということ。そして地域連携の効果というのは、やはり人、モノ、情報が集まるところですから、おのずと新しいモノが想起できてくる。われわれ産業振興をやっているほうからすれば、そこに新しいものが生まれるんではないかと思っているわけです。

山本/ 地域連携軸のレベルとして4つあると考えます。まずベースとなるのが都市計画だとか、生活圏の形成。次の段階は地域の連携。そしてもっと大きく複数県にまたがる基幹連携軸。そして最後に国土軸というかたちです。九州の場合基幹連携軸として5つの軸があると考えております。そこでこの77の連携ですが、個々の力ではどうしても弱い。やっばり全体のスケールメリットというのを生かして、地域の整備のもとになる活動を行っていくことが必要だと思います。
 

地域連携と産業振興

佐藤/ 地域連携の考え方の重要性をどこに求めるかということで、第一回目の発言をいただきました。次に、この第二分科会で求められている産業振興をどう、この地域連携に結びつけていくのかということについて、二回目のこ発言をお願いします。

秋月/ 地域振興について、この77地域ですぐにいえるのは観光資源。ただ単なる観光ではなく、その地域にある埋蔵文化財とか地下資源をセットにした観光コースというのがあってもいいんではないでしょうか。もうひとつは、伝統産業の復活ということで、地域振興にあたって、もう一度地域の伝統技術を見直してみることも必要でしょう。
それから、田園型工場誘致というもので地域振興を図る。福岡の田主丸に中学の廃校を利用してノリタケダイヤという会社が進出しています。建物もある、土地も安い。労働力もあるということで、田舎にもそんな企業が誘致できるんです。そうした産業づくりなんかにしても、やはり拠点となる母都市が必要だという気がします。この77地域には大分、延岡、熊本という3つの大きな産業都市があります。それらとの連携を図りながらの、77地域の新しい産業づくりも考えられるんではないでしょうか。

小林/ 延岡にはクレアパーク延岡という構想があって、実は来年の春に4年制の福祉系の大学が同校することが決まっております。一方、大分大学にも福祉環境工学科という学科があるんだそうですが、そのへんをなんとかつなげていけば、福祉産業閑係なんかで、お互いがもっとうまくいくかもしれないし、延岡と大分をつなぐ間の市町村の方々にも情報が広げられるかもしれないし、ビジネスチャンスも生まれるかもしれない。そんなふうに、77市町村で活発に情報交換していくことが大事なんじゃないでしょうか。

高田/ ちょっと視点を変えて、この地域に一番ある資源とは何だろうかと考えてみたいなと思います。それは、私はやっぱり人だろうなと思います。その人をどう生かしていくかを考えたいなと思います。大学に進学しても、その人たちはなかなか帰ってこない。帰って来れないんですね、受け皿がないから。でも小国なんかは、小国出身じゃない人材も入れて振興をやっている。いまCSとかの時代で空から番組が降ってくる時代ですから、阿蘇とか九重とか高千穂とか九州の素晴らしい空気と水と環境の中に、そんなソフトをつくる技術者を集めてソフトの森みたいなものをつくってもいいんじゃないかと郵政省の役人がさかんに言っておりまして。そういう意味で人を考えていくことがこれから大事なんだなということで、人を素材として考えてみました。

山下/ ひとつの産業、ひとつの農林水産物にしても、これまでは産地間で競い合ってきたというのが実態でしょう。連携しての産業振興という側面からいえば、そうしたライバル同士がどう手をつなぐかという課題もあります。
発想の転換というのか、その課題をどうクリアするかです。もうひとつは、新しい全総にしても地方重視といいながらどこまで分権というものがきちっと明記されたかなあという疑問があります。それに、先はど観光のことを申し上げましたが、JR大分駅には福岡インフォメーションコーナーがあり、キャナルシティ博多やスペースワールドなどの情報がビデオやチラシで紹介され、すぐに手に入ります。いくつも選ぶことのできる情報が日常的にあるわけです。
どこに向かって、どのような情報を発信するかは重要だと思います。域内での情報の交流を進めると同時に、最近非常に発達してきたインターネットなどを活用したきめの細かい情報発信も必要ではないでしょうか。

倉嶋/ 先ほどの議論を踏まえて、私の方から発言をさせていただきたいと思います。先ほどの議論を踏まえれば、農業生産において大事なのは顔の見える生産ということであります。消費者のサイドからすればこれは誰が作ったのかというのがはっきり分かる生産が大事ではないかと。無駄な流通コストをかける必要はないではないかということからして、身近な地域で採れたものを都市の人たちが食べると、こういう閑係。農村の側からいうと、都市の人との交流を進める中で農業生産を進めていく、農業振興を図っていく。このことが大事であろうと思います。そこから具体的な話として、グリーンツーリズムの取り組みというのが出てまいります。
それからもうひとつ。当然、今の流通の形態も変えざるを得ないと。これだけ道路がよくなっているわけでありますから、道路をたくさんの車が走る、人が通ると。そこに着目しない手はないわけであります。どこの市町村でも取り組みが進んでおりますけれども。道路瑞の直売所、これはやりようによっては大変大きな成果が上がるわけであります。一昨日、福岡のほうで見てまいりましたけれども。年間売り上げ2億という農産物直売所があります。熊本の七城というところにはメロンドームというのがあります。これはもうすでに年間10億ぐらいの売り上げになってるわけであります。特におかあちゃん方が非常に元気になった。老人が元気になった。とうちゃん、じいちゃんが作って、ばあちゃん、かあちゃんが売るという閑係なんですけれども、やっぱり接客業をやってますと、おばあちゃんも非常に顔の色つやがよくなるし、話し方もじょうずになる。で、おじいさんの方はおばあちゃんに急っつかれる。一生懸命メロンを作れ、いいのを作れと。だから病院に行ってる暇がない。七城の町長さんは医療費負担が減ったと言って喜んでおります。そういうような効果もありますんで、取り組みが進んでいるとは思いますけれども、我々もそういうのを一所懸命支援しているところでこぎいます。

菅沼/  九州は非常に今いい環境になっててアジアとの閑係が深いものですから、東北にある企業がわざわざ熊本まで出てきて、熊本からアジア向けの部品を作って供給するとかですね、いうことをやっております。こういうことで非常に大競争時代になってるわけです。それからもうひとつ一番問題は、大きなこの地域においては建設業含めて大変な空洞化がでてくるんじゃないかと。それからもうひとつは、先ほど最後に中心市街地の空洞化と言ったんですが、これも結局、この地域でも拠点都市がこざいますが、拠点都市の空洞化が出ております。そこで公共投資依存型経済からの脱却に向けた取り組みがないと、なかなか難しい。じゃあ何をするかというとなかなか難しいんですが。
基本的には民間主導の経済構造を構築することが必要であるということ。それから多少、基本的には地域連携の中で産業振興の課題や複数の市町村が地域資源とのポテンシャルを見極めてですね、その地域としての発展の方向性を検討することではないかと思っております。ポテンシャルを有効活用することによって企業や地域ニーズをくみ取ること。ポテンシャルが何かというのは、まさにそれは地場の人じゃないとなかなか分からないわけでこざいまして。先ほどもどなたかおっしゃったように、地域住民のニーズをくみ取って自分達はどういう方向に進むのか、何をやろうか。いうことじゃないかと思います。それのひとつの一番やりやすい方向としては、我々は広域連携といってるんですが、広域連携で一番できやすいところから入る。つまり、医療、消防、廃棄物処理だとか、そういう特定の事業について地域連携でやっていったらいいのかなということが考えられます。それから産業おこしでこざいますが、結論じみたことになりますと、そういう地域連携に閑する具体的な提案とすれば、やはりこの地域は自然観光資源活用型地域になるかなと思うんですが。具体的に実は、例えば大分県のある町を中心にして工業団地の建設とか企業誘致分野で活躍しているところも実はあるわけでこざいます。それから先ほどいった延岡市を含めた市。あとこれも宮崎県の村でこざいますが、地域資源の活用を行って、要するにいくつか市町村固まってやるというところで。これは農産品ですが、女性のグループが開発してそれを都市都に売っていくというところで、そういうところの連携地域をやってこざいます。それで広域連携を推進していくため、これは結論になるんですが、当面は地域資源の発掘を図るとともにその地域づくりに向けた意識の高揚を図ることがやっぱり重要じゃないかと。そこに地域リーダーをおいて、こういう意見交換会とか広域連携の先進地域の視察。それから広域連携に関する情報収集を因っていったらどうかなといった感じでこざいます。このためにも、インターネットでいろいろホームページを作ったりしてお互いの何をやってるか、何をやろうとしているか。ぜひそういうことをお考えしたらいいんじゃないかと思います。

山本/ ちょっと3点ほどいいたいと思います。ひとつは地域連携とまでいわずに産業おこしなり村おこしの観点からいうと、やっぱりリーダーが大切だなということがいえるんだろうと思います。、いろんな町おこしをやっておられて元気があるといわれる町や村がいくつもあるわけですけども。どういうところに秘訣があるんですかねと聞いたところ、やはりしっかりしたリーダーがおられますよと。元気のいい方が、おられますよと。いうことがまずかえってきた。それも民間の方が多いですね、ということだった。やはりそのそういう人の育成というか、そういった人をですね、働きやすく動きやすくするような支援というのが必要なんではなかろうかと思います。それから2点めですけども、農業の保護というんですかね、食物の生産の保護。これは非常に大事なんじゃないかと思うんです。それから3点目ですけども、やはりその、この地域連携を起こしていくためにはですね、やはり77市町村。非常にスケールメリットは大きいわけですから。今からはやはりこういう場というのが不可欠だろうから、ぜひですね、もっともっと発展的にやってもらいたい。そのためには、やはり毎年やるというその何かの目標意識というのをですね、決めてもらいたい。当面ですね、スタンプラリーをやるだけでもいいと思うんですよ。もっと他のこといろいろあるんだろうと思います。何か情報ひとつまとまったモノを作ろうということでもいいと思います。最後に、去年のスタンプラリーについてですが、結果をきれいにまとめられているとは思わなかったんですが、まとめられているものを読んでいただいて、自分の市町村がどういうふうに見られているのか想像してもらいたい。また、とりまとめたものを、いろんなところで発表していただいて、東京方面あるいはいろんな社会的に波及力のある人たちにアピールしていってほしいと思います。そういったところからいろんな次のアイデアが出るのではなかろうかと思います。

秋月/ 早速ですが、私は、具体的な提案をします。先ほど郵便局が566あると申し上げました。これをできるだけ活用するような考え方をしたらどうだろうかと。1つは地域のPRとしては今、郵便局でふるさと小包みとか、ふるさと切手とか、ふるさと絵葉書等があるんですが、今日皆さんの封筒にこれが入ってますね。もう臼杵はすでにこういう葉書でPRをやっとるわけです。こういうことで宣伝するのが一番てっとり早いんではないかと思います。2つめは、この市町村としていろいろサービスや情報を伝えるために、郵便局に市民サービス。例えば住民票とか戸籍勝本が郵便局にいけばとれることになれば、これはものすこく住民に利便性があるし、住民と郵便局との利便の共有が出来るんではないかと思います。3つめは、ブロック別の持ち回りイベントがあります。これは77地域の各市町村には民謡がたくさんある。あるいは神楽がたくさんある。あるいは方言がある。このような発表大会を今日のような時に余興として出すのもひとつの方策ではないかとこういう感じがします。4つめは、道の駅とかあるいは里の駅とかいうのがどんどん出来ますが。こういうところにですね、情報センターとして観光案内があり、簡易郵便局や地域の物産展があるというように、できるだけ集積の知恵を出して拠点づくりをしてくということが、重要ではないかと思います。

小林/ 実は私、手元に輝け九州というパンフレットを今もっているんですが、これは宮崎県とですね大分県と熊本県の25市町村が一緒になって東九州自動車道と九州横断自動車道延岡線が出来たとしたら、どんなふうなことが出来るかというのをまとめてもらった冊子なんです。これは道が出来たらという構想ですけどこれと同じような発想でですね、今回こういうふうな77市町村の連携が出来たとすればどういうことができるか、あるいはというようなことをですね、一緒になって考えてみて、こういうのを作るのもひとつの次の手段なのかなと思います。ついでにいいますと、これはこれまでなんですね。これはある意味では立派なパンフレットですが従来の形と同じです。今はインターネットの時代、ホームページがどんどん出来る時代ですので、できたらこの裏にですね、ちゃんとインターネットで情報が発信できるような、しかもそれはやがては今度は、これは一回つくるとなかなか次印刷できませんけれども、ホームページに書き込めばですね、あとは市町村がそれぞれ自分で直していけばいいわけですから。しかもこれを作る裏には猛烈なものすごい膨大な資料があるはずですよね。その資料はどうにもここには載せられませんけれども。
インターネットにはそれだって次々調べる人がその気にさえなれば調べられる構造に出来るわけですから、そんなようなことをやってったらどうかなというこ提案でこざいます。以上です。

高田/ 自分の仕事からするとやっぱり情報ネットワーク。先はどから出てますようにインターネットの発信と同時に場合によってはこの地域共通の番組作成、テレビ局を動員する番組作成というものも、ひとつ考えていただければ情報発信が全国にできるんじゃないかなと思います。それともうひとつ、先ほどちょっと触れたんですけども、流域間の意見交換といいますか場づくり。ここにはぜひ、女性の参加も増やしていただきたいと思います。川に関しては、かなり熱心な女性の方たちが、それぞれの川に張り付いておられますので、その方たちの意見交換を聞かれる場をつくり、そして連携をお互いに何をやっていくかということを意見交換することも可能じゃないかなと思っております。

山下/ 冒頭に申し上げましたように、地域連携をすればこそ広域的な周遊型観光といいますか、新たな観光ルートの開発も考えられるのではないでしょうか。例えば、竹田や阿蘇を組み合わせた名水を訪ねる旅とかですね。現在、77の市町村の観光スポットを紹介したスタンプラリーが作製されていますが、テーマ別とかあるいは季節別とかのスタンプラリーもつくられてはいかがでしょうか。地元の方でしかわからない良さもあるはずです。わがまち、ふるさとの良さをくくるのです。それに、やはり地域づくりは地域ぐるみで、というのが原点だと思います。ボランティアの皆さんや地元の民間企業も運動にしっかり巻き込んでいくことが、次のステップにつながるような気がします。
 

連携協議会の方向性

佐藤/ どうもありがとうこざいました。時間がないですけれども、私からの質問もあるんですよね。要するに77の今後をですね、どう進めていったらいいのかということでですね、後ご発言をお願いしたい思います。私の質問というのはですね、イベントを打てばそれなりに人が集まってですね、今回のようにですね、それなりの情報発信は出来るんですけども。やっぱり常に連携交流のことを行政内部で考えていく必要があるんじゃないかと、要するに実務レベルですね。これだけ連携交流と言いながら、連携交流だけを専業的に考えている係員の万が一人くらいいてもいいんじゃないかなと。そうするとこの77の地域の方々、それぞれのその実態の中に一人だけ、常に考えておるというそう人もあることによってレベルアップできるといいますか。そういうことはいかがかなと、いうふうなことも含めまして将来の話をちょっとお願いします。

協議会/ 時間がありませんので簡単に申し上げますが、私の個人の考えですが、第1点めですけど、あり方につきましては今77の市町村の官のみが入ってるんですよね。先はど谷口課長のお話しの中で、役割分担で民と官という話がありました。その中で官はきっかけを作るだけでいいんだというお話しがありましたが、そういった意味ではですね、やはりこの産業振興となった場合に商工会とか会議所とか。そういうものが入らないとなにか官だけで動いてて産業振興を話しても、イベントやるにしてもなかなかそれから先は進まないんですよね。特に官だけの場合は冒頭話しましたように、行政の区域といいますか、県という、県庁のほうみんな向いてます。ところが商業になると全然そんなの向かずにですね、全然、行政区域と離れて行動してるんですよね。官だけやはりどうしても県庁に向いてる関係で大きな壁があるわけなんですよ。それを突き破るためにはやはり商業、商工閑係とかそういう動きやすい人が、
もうひとつ加味しないと本格的な動きが取れないんじゃないかなという感じを持っておりますね。それから2点めの、確かにおっしゃるように専門の人が一人つくということはベターですし、これがほんとに動き出して、さっきお話ししましたプロフィットがですね、見えてくるとそういう形になってくるんですが、なかなかちょっと、お昼の会合のとき申しましたように規模とか、町村の規模とか道路の状況とか、それぞれの思惑が違うものですから、なかなか共通のものがつかめないというような状況の中でですね、模索しているものですから、共通認識までまだいってないんですよね。その共通認識を持たせるためにこういう皆さん方のお話しを聞いてもらいながら、必要性をいま感じてもらいながら、この協議会でどうするかという。しばらくはこういうものが必要かなと思っているんですね。いま実態は各市町村、それぞれ企画担当の人がみんなもう張り付いておりまして、全部が77集められませんのでその中の20数名の幹事役が集まってですね、代表幹事が集まって打ち合わせしながら進めているのが実態ですが、これが動き出せば専任にひとりおいても十分それは趣旨があうような、私は役割を持つ協議会だと思っております。以上です。
 

シンポジウムのまとめ

佐藤/ どうもありがとうこざいました。実態をふまえたお話しだったと思いますが、実はですね、あと2分くらいしかありませんので、事項だけ私のほうでいくつかあげましてまとめとしたいと思います。まず、77そのままやるのはなかなか難しいということで具体的にこの連携回廊軸というものを設定して、その中で結べられる市町村がアクションを起こすということ。それから流域間連携。観光地のネットワーク、77の中での観光地のネットワーク。スタンプラリーの発展的な活用。その中でいわゆるテーマ別のネットワークといいますか我が町の良さ、あるいは季節別の連携。それから健康な土づくりで地域間の交流連携。都市と農村地域との交流連携と。それから都市との交流による生産と直売。これを77の地域の中でなんとか構想できないか。また、いわゆる77全体で取り組む
のは難しいんだけども、いわゆる中域のある事業に持化した場合の連携。中域事業連携という言葉があるかどうかしりませんけれども、そういうものをもっと現実的に考えていったらいいんではないかと。それからインターネットの話が複数の方々からでました。インターネットでこの77地域のスケールをアピールするような、そういう活動をやる必要がある。情報通信の関係でいきますとテレワークセンターだとか、そういう話もこざいました。それから77の今後というところでは、先ほど延岡市長さんのほうからもこざいましたけれども、やはり民をいかに組み込んでいくかというのが大事であるということです。それを全体として民ということだと思いますけれども。商工農をいかに巻き込んでいきながら官と民の閑係性をもう少しグレードアップしていく必要があるんじゃなかろうかと。それから資金的、財政的運営基盤もつくっていく必要がある。交流を考える、常にそういうことを考えながらというふうな人も必要じゃなかろうかということで、それは将来的に考えていく必要があるだろう。また、郵便局の話がでましたけれども、この九州77の地域連携の切手を作ったらどうかというお話しですね。先ほどのスタンプラリーの関連でいいますと、持ち回りのイベントをつくりまして連携のイメージをさらにアップしていくという。それにホームページをですね、組ませたらどうかというふうなことでこざいます。産業と地域連携は、この運動を息長く継続するためにもきわめて重要な課題であり、今後とも追求していくべきであるということが確認できたのではないかと考えています。
長時間ありがとうこざいました。