パースで見るLe・Corbusierの三百万人の現代都市



三百万人の現代都市配置図



 自らデカルトの使徒を任じ、秩序と合現性を追求するル・コルビュジェは、自分の都市(パリ)とは全く違った景観をもつマンハッタンに限りない憧景と若干の批判を感じながら、壮大な摩天楼と豊かなオープン・スペースに代表される理想都市を構築した。この構想は、1922年のサロン・ドートンヌに発表されたものであり、300万人という人口は、当時のパリ市の規模に相当するものであった。
 都市の中心部は、24棟の十字径の60階建物で構成されていて(2.4×1.5Km)、この地区は3000人/haの密度をもつが建ぺい率はわずか5%にすぎない。地区の中央には、鉄道駅や空港(ヘリコブター用の)が立体的にまとめられた交通センターが配置されている。この地区の外周の菱形の部分は、300人/haの密度をもつ、ジグザグ形の8階建てアパート地区(建蔽率15%)であり、さらにその外周には、独立住居からなる田園都市(cite jardins)が配されている。これら3地区で構成される矩形市街地には、広大な公園が貫入し、公園の中心部の間には、各種公共施設が配置されている。
 交通センターを中心として東西南北4方向に走る主要道路はすべて高架であり、工場ゾーンは市街地と緑地で隔てられている。



四基の摩天楼に囲まれた中心駅と空港



飛行場の下に自動車道路が通り、摩天楼の一階はピロティとなって空いている。右の方に、木々のなかに喫茶店や商店が望まれる。



大縦道路から見た中心部



摩天楼群が光と空気の中に浴している。手前の右と左に、公共施設の広場。背景に博物館と大学。



都市の内部居住ゾーンの通りを横断して広がる集合住宅を示す居住スーパーブロックの眺め



 ル・コルビュジェは、オープンスペースの中にある高層住居の一群をしばしば「垂直田園都市」と呼んだ。



駅の広場のテラスから見た中心部



 左側の2つの摩天楼の間に、やや高架になった駅が見える。駅から西側のイギリス庭園へ伸びる自動車専用道路が見える。これが都市の中心地区。密度がもっとも高く、交通がもっとも多いところである。階段状のカフェテラスは、人通りの