■nLDK
いわゆる子供部屋や夫婦のための主寝室などのプライベートな個室の数「n」とリビング「L」、ダイニング「D」、キッチン「K」によって住居の間取りを表す表記方法。
2DK、3LDKなどとして使われる。
藤森照信『昭和住宅物語』によれば、「DK(ダイニング・キッチン)」という言葉が使われはじめたのは、昭和30年、食堂と台所をひと続きとした平面計画、「51C型」住戸(1950、吉武泰水、郭茂林提案)からである。
この計画を採用した当時の住宅公団は、「ダイニング・キッチン=DK」を販売戦略の前面に押し出し、このクラスの生活では珍しかったテーブルをダイニング側に付設、3年後にはキッチンにステンレスの流し台を採用するなど、新しい団地での生活を演出した。
こうした計画が 実践され、一般化されていった背景に、戦中期から庶民用小住宅の「食寝分離」を唱えていた西山夘三、それを戦後の住宅復興、高度経済成長期の住宅供給計画の中で展開していった吉武泰水、鈴木成文などの建築計画学における成果があった。
しかし、団地ブームに乗ってまたたく間に広がったこのライフスタイルは、住環境の多様化が叫ばれはじめた昭和50年代頃からその表記方法とともに批判の的となりはじめ、画一化されたnLDKという表記をどう乗り越えるかという、きわめて日本的な住宅論が展開するようになった。