卒業論文 修士論文

卒業論文

平成7年度卒業論文 GISを用いた大分市の都市計画の変遷に関する研究

 大分市は大分県の県庁所在地として、また戦後の新産業都市指定により急激な発展を遂げており、今後も東九州の中心都市としてその役割は重要であると思われます。
 本研究では大分市の成長を時系列的に調査、整理し特に都市計画の流れを追うことにより、現在までの成長の過程を明らかにする事を目的としています。
 ここでは、用途地域・都市計画道路について昭和26年、40年、平成7年の3時点の変遷状況、土地区画整理事業については、現在の施行状況の地図について掲載してあります。

・用途地域変遷状況

 最初に掲載しているのは、大分市の用途地域の変遷図です。大分市は昭和7年に初めて用途地域が指定され、都市計画法改正に伴う、新たな用途地域が指定された昭和48年以降、3回の見直しが行われています。

昭和26年用途地域
 戦後のこの時期の用途地域の指定範囲は、市中心部の狭い範囲であり、商業地域を中心に住居系地域が取りまき、北部海岸沿いと、南部地域に工業系地域が見られます。

昭和40年用途地域
 昭和40年は、新産業都市指定と合併による新大分市誕生により、用途地域指定面積が昭和26年の12倍強にまで拡大しています。これに伴い、住居系地域は大幅に拡大し、工業系地域が臨海工業地帯沿いに指定されています。
平成7年用途地域
 平成7年現在、用途地域は細分化されており、それぞれの地域に適した、詳細な指定が行われています。地図を見ると、臨海沿いに工業系地域、日豊線主要駅沿いに商業地域、それを取り巻く形で住居系の地域が指定されているのがわかります。また、新たな傾向として、大規模住宅団地の開発による郊外地域への第1種住居専用地域の指定が見られるようになっています。
・都市計画道路幅員別変遷状況

 最後に都市計画道路を幅員別に分類して表示した地図を掲載します。

昭和26年都市計画道路
 昭和26年時点では、戦災をうけた現市中心部の主要道路の復興が中心となっています。
昭和40年都市計画道路
 この時期は、臨海部の工業化による人口増加、宅地需要の増大など対応するために、最大幅員40mの臨海産業道路が計画されています。また、その他は東部、大在、坂ノ市地区への道路、また、南部郊外地域に出現した、飛び市街地への道路網計画が行われていっています。
平成7年都市計画道路
 平成7年現在では、高速道路網の建設が市中心部(大分米良)まで完了しており、さらに県南東部の津久見市までの建設が行われています。都市計画道路では、市中心部への交通の一極集中を回避するための外環状線等が新たに計画されています。
・土地区画整理事業図

 左の地図は土地区画整理事業の進行状況を表示したものです。大分市の区画整理は、戦災復興5ヶ年計画に基づく、市中心部の区画整理最初に、殆どが臨海部に位置していることがわかります。新産業都市指定による臨海部の埋め立てにより、工業地域とともに市街化も東西軸を中心に拡大しています。

修士論文

平成9年度修士論文 GISを用いた過疎と交通網の関連性に関する分析

 大分県は大分都市圏などの一部地域を除き人口減少が著しく、特に農山村地域においては若年層の人口流出、高齢化が進行し、いわゆる「過疎化」が進んでいます。本研究では、深い関わりにあると考えられる過疎と交通網の関連性を国勢調査区を単位としてミクロ的に分析し、その関連性を実証することで、現在過疎地域と呼ばれている地域がどのような状況にあるのかを明らかにすることを目的としています。
 本研究の流れは
・地図、データの作成
・交通施設との圏域等の分析
・地域分類
と大きく3段階に分けられ、ここでは交通施設との圏域図と過疎判定、過疎傾向判定そして最終的に地域分類図を示しています。

・国道からの圏域

国道はほぼ全県を網羅し、大部分の調査区が5q以内の圏域に属しますが、国東半島、豊肥地域、県南海岸沿い地域などでは、現在も国道へのアクセスの悪い地域が存在しています。

・高速道路ICからの圏域

高速道路ICと自動車専用道路のIC等も含めた圏域図ですが、地図を見ると、大分県を横断する九州横断自動車道を境に南北に、アクセス性の悪化が見られます。特に県南部は高速道路の整備が遅れており、今後の東九州自動車道の建設が待たれます。

・駅からの圏域

ここでもやはり、交通網整備の遅れている、国東半島、県北西部等にアクセス性の悪い地域が集中しています。

・特急停車駅からの圏域

特急停車駅となると、各調査区のアクセス性はさらに悪化し、豊肥地域、県北から国東半島にかけての広い地域で10q以上の圏域が拡がっています。


・過疎判定調査区

 調査区の人口密度、若年者人口比率が大分県平均(0.1632,194.3)を上回り、かつ老年人口比率が県平均(0.1860)を下回る地域を過疎判定した。
この結果、以下のように判定されました。
過疎判定調査区     2,541調査区(赤)
非過疎判定調査区    14,551調査区(青)
人口が存在しない調査区  980調査区(緑)
・過疎傾向の強さ

 次に上記の過疎判定調査区を用い、過疎傾向の判定を行っています。

判定方法は
・対象調査区より、0.5q,1q,2q,5q以内の調査区数、過疎判定調査区数の集計
・過疎判定調査区数/距離圏内の調査区数より過疎判定調査区率0.1,0.3,0.5,0.7以上の調査区を抽出
・これらの結果16通りより過疎傾向の強さを数値化

 この判定より、調査区の過疎傾向の強さは0から最大17の数値を持ちます。
・地域分類

 過疎傾向の強さ等の結果から、大分県の過疎地域分類を行い過疎傾向5地域、非過疎傾向3地域に分類しました。

 過疎傾向地域        非過疎傾向地域
・国東半島中央地域     ・県東西軸
・県北西部地域       ・県北都市圏
・県西部地域        ・県南都市圏
・豊肥地域
・県南部地域

・研究結果
研究の結果、上記のように大分県の過疎傾向の分類を行いました。また、距離データ等の数値データより分析をおこなった結果、交通施設、特に鉄道駅に最も過疎が影響を受けているという結果となりました。これは、鉄道駅が各市町村の生活・交通の拠点であり、中心性を持っていることに影響を受けたものと考えられます。

・おわりに
 過疎といっても様々な要因が存在し、それらが複雑に絡み合って過疎地域を形成しており、ある地域を一概に過疎と決めるのは安易すぎます。実際に過疎地域を指定する場合には様々な要因を慎重に検討する必要があります。先にも述べたように現在の過疎地域指定は市町村単位で行っており、市町村細部までの過疎の現況は明らかではありません。今後は、各市町村が細部の過疎の実態を把握し、今回の研究で行ったような過疎をミクロ的視野から捉えることで、過疎の対策、過疎地域の整備を行っていくことが過疎問題の解決につながるのではないかと思われます。

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