水郷景観の特徴について

―― 中国周庄鎮における調査 ――

 


 

はじめに

“小橋、流水、人家”と言われている中国江南水郷は、人間の心の中で居住環境の手本のように感じられている。水郷は尺度の感じがよく、外部環境が美しく、景観が多様であるため、訪問した人々はみんな水郷を忘れ

ず、もう一度行きたいと思っている。したがって、水郷景観の構成方法を分析し研究すれば、今の都市整備と都市景観設計において、参考になることが多いと考える。

本文は中国江蘇省周庄鎮を例にし、水郷景観の多角度と多視点の構成特徴を簡明に分析している。

 

1.水郷における豊富な景観の前提

水郷の建物はとても簡単である。ほとんどの民家は大体二階と三階の斜面屋根で、青瓦と漆喰壁(粉墻)からなり、質素で飾り気がなく、リズミカルに水路に沿って相次いで建てられている。このような建物が両側に並べている街路を歩く通る時、常に建物を意識することなく、建物の存在をさえも忘れるようである。注意力は街路空間、流水、橋等水郷の整体景観に全て注がれる。したがって、これら注目を引かない建物は一つずつ肩を並べており、水郷のあっさりして奥床しく、調和のある、統一的な大背景を構成している。水郷の豊富な景観を強力に引き立ている「図1」。

 


2.多層の体験 韻律感の空間

水郷の建物は大体水路の両側にある。水路と街路は建物で隔てられている。そして、“前街後河”という独特な街路空間になっている。水郷において、一番大切な要素は水路である。水郷の全景観は水路の存在によって存在しており、水路が変わったらその景観も変化してしまうといっても過言ではない。

水路の両側に連続民家がある時、街路と水路は関係がなく、別々になっている。街路は“上窄下寛一線天”で、狭く、ほの暗い「図2」。水路は同様であり、両側の建物で遮られている「図3―1」。

水郷では船が大切な交通手段である。船に乗り、降りるために岸辺には停船する埠頭があり、それを「水埠」という。水埠の周りには建物がないので、小さな広場になっている。そのため、連続で、封閉させている街路空間に開かれている。

水路の片側に水埠がある場合、街路は広く、明るくなっている。そこで街路と水路に連係がある。街路では水路中航行している船または川の流れが見えるだけでなく、川の向う側の建物や川岸も見える。船の中からは街路の景観と人々の活動を見ることができる「図3―2」。

水路の両側に水埠がある場合、街路と水路の関係があるのみならず、街路と街路の関係もある。通りかかる人は対岸の街路や商店などの景色をはっきり見ることができる。街路、水路と街路という三つの空間が互いに連絡、融合されるから、一番は活気のある景観となっている「図3―3」。


ほかに、幅が狭く長い街路を通るとき、両側の民家しか見えない。視線が収れんしている。水埠があれば、狭い街路空間がすぐに開かれて、視線が広がる。街路は水埠の存在によって、「一明一暗」(明るいと暗い)、「一開一合」(開けると閉じる)、「一張一弛」(緩むと張る)なといリズムに富む韻律感の空間が構成されている。空間変化のリズム感が極めて強いである「図4」。


水郷の水路は街路と同じような狭長的な空間であり、船で入られるのと橋で渡されるだけである。水路の流水は両岸の景色と変化の多様の青空の景色が逆さに映り、常に変化している。両岸での観察者に対して、水路は“以隔非隔”(離れているようて離れていない)であるが、橋が無い所で人間の行動が制限させる。しかし人間の視線は阻止しない。水路の存在は街路空間の層を増加させるばかりでなく、視線の景深も加させる。街路に立って、近い所でそばの民家が詳しく見られる、ちょっと遠い所で川辺の水埠と川の中にの船も見られる、もっと遠い所では対岸の街路と街路中の人々の活動が見られる。したがって、単一な街路景観は複雑多変になり、多層に富む。

 


3.多重な意味の物

水郷の物は意味が単一ではなく、多重である。例えば「図5」、水郷の橋は交通の重要な役割を果たしているが、記念や象徴の意味もある。もっと狭長の水路を一区間一区間に分けて、水路の立体感を持たせて、水路の文脈を増加させる。橋の下には行船のために橋身をアーチにしている。橋面が街路の地面より高くなっている。橋に立って、周囲の景色を眺望することができる。橋の自体の造形が美しいので、橋下で橋の容姿を鑑賞し、橋身に刻まれているの文字を読んで、この橋の名前と橋について歴史のストーリーが分かる。船に乗って、一つ一つ半円形の橋洞を通る時、水路の韻律を強烈に感るとができる。こんないくつもの特徴により水郷が豊富な意味を持ってくる。同じ物でも見る角度によってさまざまな側面から鑑賞することができ、理解することができる。そして、構成要素は多くなくても、多様な景観を我々に見せてくれる。これが水郷景観が豊富になる原因の重要な一つである。

 


4.多方向 多視点の眺望点

 伝統的な水郷は景観の眺望点がたくさんある。

例えば、橋上では人たちの交通停留点である。橋頭は人たちの休む所で、小広場になっている。水埠は陸地と河の連接点である。これらの場所は景観の最優良眺望点である。さらに、川に面している茶楼は二階と一階で見た景観が異なる;過街楼で立って街路を見ると、街路の中にの感じと異なり、世間以外にある感じがある。これは水郷の景観は多様な視角(上、下、左、右、前、後)と多様な視点場(橋上、橋下、楼上、楼下、街路中、船上、水埠頭等)を持っていることを示唆している。その上、これらの眺望点は互いに対応している、空間が人を停留させ、水郷のは人々の心をなごませる「図6」。

 

まとめる

 水郷の景観は豊富である。この中に一つの重要な構成方法は人に多層の空間、多角度の視野、多視点の眺望点と多意味の対景を提供した。空間は狭く、物は少ないが、それぞれの要素の機能を十分に発揮して、有限な空間に変化を与え、豊富な景観を創造している。

 最後、以下の詩で、水郷の景観を概括されるかもしれない:

      

         迩在橋上看風景

     看風景的人在橋下看迩 

     明月点綴了迩的窓辺

     迩点綴了別人的夢

    

 

    (橋の上で風景を見るあなた

     あなたが橋の下で風景を見る人に見られでいる 

     明月はあなたの窓を美しくさせ

      あなたは他人の夢を美しくさせている)

 


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