蘇州市水辺空間の平面空間構成に関する研究(その1)

 

 


 

 

1.研究の目的と方法

本研究は、蘇州市水路の平面図から水辺空間各要素を入手し、水辺空間平面的な構成と変化を明らかにすることを目的としています。

 

2.研究の方法

まず水辺空間から構成要素を抽出し、各構成要素を組み合わせから得た空間の類型とパターンを示します。

水路の流れ方向に沿って考察し、各水辺空間をそれぞれに対応する空間類型とパターンに分解して統計することによって、各空間類型とパターンの分布状況と占有のベースデータが得られます。

これらのデータを分析して、各水路構成要素の平面構成と水辺空間の変化を明確に表現することができ、蘇州市水路空間構成の特徴を把握することもできるようになります。

 

水辺空間の構成要素は役割による空間構成要素空間連係要素という2種類に分けられています。

 

空間構成要素は、水路、街路、緑地、空地で、基本空間類型を構成します。

空間連係要素は、橋と水埠で、橋詰め空間類型水埠空間類型を構成します。

基本空間類型は、水路の一側に各空間構成要素の種類と位置によって、7種類29パターンに分けられています。

橋詰め空間類型は、16種類39パターンに分けられます。

水埠空間類型は、13種類39パターンに分けられます。

 

3.水辺空間類型分布の分析――平江河

 平江河を例として、分析方法を説明します。平面図によって水路両側の各要素の位置、空間類型の分布、各空間類型の距離などの変化が分析し、平江河の分布状況と分布図を得られます。

同じように、蘇州市の盛家帯河、道前河、十全河の各空間類型の分布図が得られます。

 

4.水路空間類型別の占有分析――基本空間類型

 

各水路において、基本空間類型別の占有状況のデータを分析すると、次の結論を得られます。

1)平江河は6種類の類型、16パターンの空間変化を持ち、全体の空間類型の変化数が150です。

盛家帯河は、5種類の類型、12パターンの空間変化を持ち、全体の空間類型の変化数が120です。

道前河は5種類の類型、15パターンの空間変化を持ち、全体の空間類型の変化数が71です。

十全河は、3種類の類型、14パターンの空間変化を持ち、全体の空間類型の変化数が144です。

 

2)空間類型の距離の占有率と空間類型数の占有率をみると:

平江河の西側は、主な空間類型が類型Tであり、東側は類型Vで、全体で類型Vが主に占められると明らかになります。

 盛家帯河の西側と東側は、類型Vの空間類型が集中的に出現し、全体でも類型Vが主な空間類型となります。

 道前河の南側は、主な空間類型は類型Wで、北側は類型Zです。全体で、類型WとZの2種類が主な空間類型となります。

 十全河の南側、北側と全体でも、類型Wが主な空間類型となっています。

 

3)●平江河と盛家帯河において、主な空間類型は類型Vですが、平江河では類型Vの占有率が東側だけ高く、西側の占有率が均等です。全体でみると、各空間類型の出現率と占有率も均等で、空間変化の類型と頻度が多く、空間変化の豊富な水路であることがわかります。

●盛家帯河の類型Vの占有率は両側とも高く、集中しており、両側におなじ空間類型をもっていることが分かります。

●道前河において、主な空間類型は2種類です。この2つの空間類型は占有率が高く、両側にあります。両側は全く違う空間類型で、対照的な水路空間になるとわかります。

●ところが、十全河は他の水路と異なり、北側と両側で、空間類型距離占有率の最大値と空間類型数占有率の最大値は一致してありません。この現象は、主な空間類型の中に他の空間類型が多く出現していると考えられます。したがって、主な空間類型に他の空間類型が多く挟まれているため、全体で空間類型とパターンが少なくても、空間変化が豊富であると分かります。

 

5.まとめ

本論文は水路平面空間構成の研究方法を提案しています。空間類型とパターンにより、水路の空間類型の分布と占有状況をベースデータとして集計し分析することにより、各水路空間の特徴を明確に把握でき、この研究方法は有効であると考えられます。しかし、本論文で報告した内容は、研究の初期段階でまとめたものであり、ベースデータの全面分析にはまだ到ってありません。

今後の研究課題として、求めえたデータに基づいて統計分析し、水辺空間の保存、修景、設計などに役立つ方法を提案する予定です。

 


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