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1997年度卒業研究
地形と土地利用データを用いた
景観構成条件による地区類型に関する研究
3.メッシュデータシステムについて
3.1. メッシュデータシステムの概念
本章では、本研究においてデータを取り扱う上での重要な手法であるメッシュデータシステムについて概説し、さらに本研究のメッシュデータの取り扱い方法についても解説する。
本来的に空間的情報である都市計画資料においては、その解析・表現においても空間的な取り扱いが求められる。すなわち、何らかの地区単位を用いることが必要であり、どのような地区単位を用いるかは都市計画調査の目的に照らして適当なものを選択すべきである。多く用いられる地区単位としては、1.国勢調査区、2.町丁・小学校区などの行政地区、などがあるが、いずれも人為的に設定された単位であり、地区相互の面積や距離は一定なものではない。本研究では、資料のコンピュータによる数値解析的なデータ処理を行うことから、これに適した地区単位としてメッシュデータシステムを採用する。メッシュデータシステムとは、地図上に等面積、等間隔の地区単位(メッシュ)を設定し、その単位で都市計画資料を取り扱う手法であり、以下のような特徴がある。
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距離・面積・密度などの数値指標を取り出しやすい
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多変量解析などの統計手法が適用しやすい
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コンピュータによるデータ処理やグラフィック表現に適している
図 2 地図とメッシュ
3.2. メッシュデータの概要
本研究で用いるメッシュデータシステムのメッシュサイズは、国勢調査等で用いられる緯度経度法による標準メッシュ(1kmメッシュ)を東西方向、南北方向にそれぞれ4分割したメッシュ、いわゆる250mメッシュである。緯度経度法によるメッシュは、メッシュの位置する緯度によってわずかにメッシュサイズが異なるが、1都市程度の地域のメッシュを扱う上では、すべてのメッシュを同サイズとみなしても差し支えない。大分市の位置する北緯33度付近では、1メッシュが東西方向約291.5m、南北方向約231.0m、面積約6.73haであり、大分市は5645メッシュで構成される(図
2参照)。
図 3 市域を構成するメッシュ
本研究では、以下の3種類のメッシュデータをベースとして利用することとするが、いずれも本研究室の既往の研究・調査によって作成されたものである。
以下、これらのデータについての概要を述べる。
3.2.1. 市域データ
a. 作成年度
b. 作成者および研究テーマ
小林祐司「環境要因を考慮したメッシュ単位の推論による土地利用構想立案支援システムの開発」
c. 概要:
メッシュ毎に市域区分が記録されている。市域区分は以下の4区分である。
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市域外メッシュ
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市街化区域メッシュ
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市街化調整区域メッシュ
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市街化区域・市街化調整区域混在メッシュ
3.2.2. 標高データ
a. 作成年度
b. 作成者および研究テーマ
本研究室「国土利用計画大分計画参考資料」作成のための調査
c. 概要
メッシュ毎に平均標高値が記録されている。記録単位はメートルで、記録精度は0.5mである。
3.2.3. 土地利用データ
a. 作成年度
b. 作成者および研究テーマ
大野伸和、野下裕幸「大分市の土地利用変化に関する研究」
c. 概要
メッシュ単位に土地利用占有値が記録されている。土地利用占有値は、大分市都市整備部作成の土地利用現況調査図(2500分の1)の上に2.5mm間隔のドットを記したシートと合わせ、同図上の土地利用区分、土地利用細区分および用途地域区分に対してドット数をカウントしたものである。本研究では、土地利用細区分および用途地域区分については使用していない。土地利用区分とその内容は以下の通りである。
@住宅用地
A商業用地
B工業用地
C公共施設用地
文教施設、福祉施設、官公署、環境衛生施設、エネルギー施設、防衛施設など
D農業用地
E道路
F水面・河川・水路
G森林・荒地
H公共空地
都市公園、スポーツ広場、整備中の公園、墓地、霊園、ゴルフ場、その他の公共的に利用される空地
Iその他
3.3. メッシュデータの3次元展開
本研究は、景観という3次元空間上の問題を取り扱うことから、メッシュデータをコンピュータ上の3次元仮想空間に展開する。3次元化にあたっては、各メッシュを8つの三角形ポリゴンに分割し、連続した三角形ポリゴンで地表面を形成する。3次元化の手順を図
4に示す。
図 4 標高データの3次元化
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