1997年度卒業研究
地形と土地利用データを用いた
景観構成条件による地区類型に関する研究

4.メッシュデータによる地形及び土地利用

4.1. 地形

 本章では、本研究のベースとして利用する標高データと土地利用データの2種類のメッシュデータを用いて、大分市の地形条件および土地利用分布を把握する。 
 標高値の構成は表 3のようになっている。 
 
            表 3 標高区分別メッシュ数・構成比
 標高20m未満の平野が全面積の27.46%を占め、標高20以上80m未満が31.44%、標高80m以上が41.10%となっている。全体の平均標高は98.19mで、メッシュの平均標高の最高値は680.5mである。図 5に大分市の標高分布を表す。 
 
          図 5 標高分布
 市界北辺は別府湾に面する海岸線であり、そこに注ぐ大分川・大野川沿いに平野がひろがっている様子がよく分かる。また、市域東部・南部・西部にある標高の高い地域は、それぞれ高崎山周辺、霊山・本宮山周辺、九六位山周辺であり、平野部を取り囲むように位置している。また、山地帯からは平野部に向かっていくつかの丘陵が連続して伸びている様子が観察でき、高崎山山系から伸びるものが金谷迫を経て上野が丘へ至る丘陵地、霊山・本宮山山系から伸びるものが松岡・明野へ続くの丘陵地、九六位山山系から伸びるものが丹生の丘陵地である。また、南東部のいくぶん標高の低い部分は吉野盆地である。図 6は大分市の地形の3次元モデルを北北東方面上空から俯瞰したものである。 
 
              図 6 大分市の俯瞰モデル
 

4.2. 土地利用

 メッシュデータによる土地利用の構成は表 4のようになっている。 
 
     
     
            表 4 土地利用別面積・構成比
 もっとも広い面積を占める土地利用は森林・荒地で、大分市の全面積35924.48ha中の50.80%、18248.49haを占めている。つづいて、農地が15.62%、5612.91haを占め、住宅地、商業地、工業地はそれぞれ、8.92%、1.68%、6.85%を占めている。以下に土地利用別に分布の傾向を述べる。 

 4.2.1. 住宅地

 住宅地は、大分市中心部から平野部を中心に東方向・南方向へ広く展開している。丘陵地帯においても中心部に近い西部丘陵地帯、霊山山麓および明野などは住宅地としての開発が広く進行している。また、CBD地区においては住宅地の比率の低下が顕著に見られる。 
 
          図 7 住宅地分布

 4.2.2. 商業地

 商業地は中心市街から国道10号線197号線210号線を中心に、道路沿いに線状に密集して立地する。面的な立地傾向が見られる地点は、中心市街および中心市街から高城方面への地区、国道10号線と210号線の分岐地点を中心とする地区である。 
 
          図 8 商業地分布

 4.2.3. 工業地

 工業地は臨海部の工業専用地域と鶴崎および坂ノ市の一部内陸部に集中立地しており、その他の地域においては密度薄く散在している程度である。 
 
          図 9 工業地分布
 

 4.2.4. 農業用地

 農地は郊外の平野部を中心として、周辺の丘陵地帯にかけて分布する。とくに大分川および大野川の中流部に沿った地域では水稲耕作が広く行われており、農地率も高くなっている。 
 
          図 10 農業地分布
 

 4.2.5. 森林・荒地

 森林・荒地は、丘陵地帯・山地帯を広く色濃く覆うが、一部中心部に近い丘陵地帯で市街化が進み、森林・荒地の比率の低下が顕著に見られる。 

 

          図 11 森林・荒地分布

 4.2.6. その他の土地利用

 そのほかの土地利用について特徴的な点を特に指摘する。公共施設用地では、敷戸周辺に高密度に分布する地区が存在するが、これは自衛隊駐屯地である。道路は、市街地周辺で密度が高い。水面・河川・水路の高密度メッシュは、大分川・大野川の流路および河川敷である。 
              図 12 そ他の土地利用分布 

 



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