1997年度卒業研究
地形と土地利用データを用いた
景観構成条件による地区類型に関する研究
 

7.景観特性分析 

7.1. 景観特性考察のための指標値

 本章では各視点場クラスタごとに、景観ゾーンに対する視覚指標を用いて視点場クラスタの特性を詳述するとともに、景観に対する景観ゾーンの影響力を個別に考察する。また、視点場クラスタについて任意に代表点を設定して、その視点場からの景観をCG画像によって推定する。
 景観特性考察のために特に重要な指標値として、本研究では景観ゾーンに対する可視領域についての面積、距離および視線入射角を用いる。いずれも視対象の見かけ上の面積と密接な関係にある指標であり、これらによって景観ゾーンの景観に対する影響力を推し量ることができる。景観特性の考察にあたり、これらの指標に対して上位にある景観ゾーンを中心に論じることとし、特に距離が相対的に遠いものと近いものそれぞれについて景観に影響力の強いゾーンを指摘したい。以下、これら指標値の基本的概念について述べる。

7.1.1. 可視面積

 「可視面積」は可視領域の水平投影面積をクラスタ構成メッシュについて平均したものである。大分市の地形が総じてなだらかなことを考えると地形面の水平面積と表面積はほぼ等しいと考えても差し支えないと考えられる。視対象と視点が十分に離れている場合、見かけ上の面積は可視領域の面積に比例する。すなわち、可視面積が広いほど、景観に対する影響力が強くなるといえる。

7.1.2. 距離

 「距離」は視点と可視ポリゴンの重心の水平距離を景観ゾーンについて平均し、これをさらにクラスタ構成メッシュについて平均したものである。距離についても3次元空間上の距離と水平距離はほぼ等しいと考える。視対象と視点が十分に離れている場合、見かけ上の面積は距離の2乗に反比例する。すなわち、距離が近いほど景観に対する影響力が強くなるといえる。

 7.1.3. 視線入射角

「視線入射角」は視線と視対象面のなす角度である。また、視線とは視点から視対象ポリゴンの重心を結ぶ線である(図 24参照)。視対象と視点が十分に離れている場合、見かけ上の面積は視線入射角の正弦に比例する。すなわち、視線入射角が大きくなるほど景観に対する影響力は強くなるといえる。
          図 24 視線と視線入射角θ
 



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