1997年度卒業研究
地形と土地利用データを用いた
景観構成条件による地区類型に関する研究
 

7.2. 視点場クラスタ1

 視点場クラスタ1は、市域東部の坂ノ市地区周辺の海岸部から丘陵部を中心に分布する限定眺望クラスタである。クラスタ構成メッシュからの景観ゾーンに対する視覚指標マップを図 25に示す。また、景観ゾーン別の詳細な視覚指標を表 15に示す。 
 可視領域はおおむね、第六章の図 22の因子?にあたる市域東部のゾーンと因子?にあたる霊山・本宮山山塊、因子?にあたる九六位山嶺に対して広い。 
 景観ゾーンに対する視覚指標を観察すると、距離・可視面積・視線入射角の3指標ともに上位にあるものは自然丘陵地70および自然山林81であり、これらの景観ゾーンの景観に対する影響力は特に強いと考えられる。この他、距離・可視面積において上位にあるものは平野型住宅地03、工業地43、工業地44、平野型農地53および丘陵地型農地63であり、また可視面積と視線入射角において上位にあるものは丘陵地型住宅地10、丘陵地型農地60、自然山林80および自然山林82であり、距離と視線入射角において上位にあるものは丘陵地型農地61および丘陵地型農地67であって、これらも視点場クラスタ1における景観に対して一定の影響を与えていると推定される。 
 視覚指標上位のゾーンには市街地ゾーン、非市街地ゾーンとも含まれていて、特にクラスタ分布の北側には市街地ゾーンが多く、南側には非市街地ゾーンが多い。また、南側の非市街地ゾーンに対する視線入射角は比較的大きくなっている。 
 
              図 25 クラスタ1視覚指標マップ 
     
            表 15 クラスタ1からの視覚指標値 
 つづいて、クラスタ1に含まれる丹生大橋付近についての景観推定を行う。 

 7.2.1. 景観推定〜丹生大橋付近 

 小河川の河口付近にあたる平野部である。この地点からの可視領域を図 26に示す。 
            図 26 可視範囲 
 近距離の地形はなだらかで一様に可視範囲が広がるが、視線は周辺の丘陵に阻まれ遠距離へはあまり及ばない。わずかに北西方向へ視線が抜けて臨海部が展望できるるが、前述の通り、視線入射角が小さいので視覚的な影響力は小さいと思われる。また、主要な3つの山地には視線が到達していて、山腹を大きく望むことができると思われる。 
  この地点における景観CG画像を図に示す。 
              図 27 景観推定画像 
 近中景は平坦で捕らえどころがなく、視点場自身が属する工業地43が大きく広がっている。その南側には平野型住宅地03が水平に広く連なり、さらに背後に、自然丘陵地70、自然山林81が大きく展望できる。また、南西方向には霊山山塊を含む自然山林80を、また西方向には高崎山を含む自然山林82を遠方に望むことができる。 
 海岸近くに位置し背後には山並みが控えていることで、海岸部にありながらも比較的近くに自然要素を望むことができ、南北で明確に様相が異なる景観である。 
 



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