1997年度卒業研究
地形と土地利用データを用いた
景観構成条件による地区類型に関する研究

7.6. 視点場クラスタ5

 視点場クラスタ5は、大分川中流沿いの平野とその周辺の丘陵地を中心に分布する限定眺望クラスタである。クラスタ構成メッシュからの景観ゾーンに対する視覚指標マップを図 37に示す。また、景観ゾーン別の詳細な視覚指標を表 19に示す。
 可視面積はおおむね、第六章の図 22に示す因子?と因子?にあたる大分川中流沿いの平野と周辺の丘陵地と因子?にあたる霊山・本宮山山塊、因子?にあたる九六位山嶺に対して広い。
 景観ゾーンに対する視覚指標を観察すると、距離・可視面積・視線入射角の3指標ともに上位にあるものは丘陵地型住宅地10であり、このゾーンの景観に対する影響力は特に強いと考えられる。この他、距離・可視面積において上位にあるものは平野型住宅地00、平野型住宅地01、丘陵地型住宅地12、丘陵地型住宅地13、都心商業地20、周辺商業地31および平野型農地51であり、また可視面積と視線入射角において上位にあるものは丘陵地型農地64、自然山林80および自然山林81であり、距離と視線入射角において上位にあるものは平野型住宅地04および自然丘陵地77であって、これらも視点場クラスタ5における景観に対して一定の影響を与えていると推定される。
 視覚指標上位のゾーンには市街地ゾーンが多く、クラスタ分布の東寄りの地域一帯に位置している。また、クラスタ5の周辺は小面積の景観ゾーンが数多く位置する場所であって、限定眺望クラスタのうちでは比較的多くの景観ゾーンの影響を受けやすいと考えられる。
 
     
              図 37 クラスタ5視覚指標マップ
 

     
            表 19 クラスタ5からの視覚指標値

 つづいて、クラスタ5に含まれる明碩橋付近についての景観推定を行う。

 7.6.1. 景観推定〜明碩橋付近

 大分川と国道210号線が交差する地点である。この地点からの可視範囲を図 38に示す。
 
            図 38 可視範囲
 周囲に比較的平坦に可視領域が広がるが、西方向の近くには小丘陵が存在して領域の広がりが浅くなっている。その他、北方向では上野ヶ丘から高崎山へ続く丘陵によって、東方向では明野から松岡に続く丘陵によって、また、南側では霊山山塊によって明確に可視領域が区切られている。
 この地点における景観CG画像を図に示す。
 
            図 39 景観推定画像

 近景には視点場が属する平野型住宅地01が広がり、北東から東方向ではその向こうに周辺商業地31が平坦に続く。この方向を除く全周の比較的近くを丘陵地が取り囲んでいるが、そのほとんどが丘陵地住宅地であり、すなわち北方向にはゾーン10が、南東方向にはゾーン12が、南西方向にはゾーン13が低く連なっている。南方向には、霊山の山容全体をその麓の丘陵地型農地64から山頂の自然山林80まで連続して見通すことができる。東方向遠方には、自然丘陵地71とそのさらに向こう側の自然山林81を、北西方向の丘陵地型住宅10の向こうには高崎山を含む自然山林82を望むことができる。
 平野部にあって周囲を市街化された丘陵地に取り囲まれているが、近くに大きく見える霊山が景観にアクセントと自然要素を加えていて、意外と変化に富んだ印象である。
 
 



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