1997年度卒業研究
地形と土地利用データを用いた
景観構成条件による地区類型に関する研究

7.7. 視点場クラスタ6

 視点場クラスタ6は、霊山の東側山腹から本宮山周辺の北側山腹にかけての地域を中心に分布する広域眺望クラスタである。クラスタ構成メッシュからの景観ゾーンに対する視覚指標マップを図 40に示す。また、景観ゾーン別の詳細な視覚指標を表 20に示す。
 可視面積は多くのゾーンに対して非常に広く、市域の多くを見渡すことができるが、第六章の図 22に示す因子?にあたる市域西端に近い地域と因子?にあたる吉野盆地周辺に対しての可視範囲は狭い。また、表 13に示すとおり比較的高い標高に位置していることによって、平坦なゾーンに対しても視線入射角が大きくなりやすい。
 景観ゾーンに対する視覚指標を観察すると、距離・可視面積・視線入射角の3指標ともに上位にあるものは自然山林80であり、このゾーンの景観に対する影響力は特に強いと考えられる。この他、距離・可視面積において上位にあるものは丘陵地型農地60および自然山林81であり、また可視面積と視線入射角において上位にあるものは自然山林80であり、距離と視線入射角において上位にあるものは丘陵地型住宅地13、丘陵地型住宅地15、平野型農地52、丘陵地型農地64、丘陵地型農地65および自然丘陵地75であって、これらも視点場クラスタ6における景観に対して一定の影響を与えていると推定される。
 視覚指標上位のゾーンには市街地ゾーン、非市街地ゾーンともに含まれているが、非市街地ゾーンの方が若干優勢である。このクラスタもクラスタ3と同様に表 13に示すとおりクラスタ構成メッシュが比較的高い標高に位置する広域眺望クラスタであり、非常に多くのゾーンによって景観が構成されると推定される。
 
 
              図 40 クラスタ6視覚指標マップ
 
            表 20 クラスタ6からの視覚指標値
 つづいて、クラスタ6に含まれる本宮山山頂付近についての景観推定を行う。

 7.7.1. 景観推定〜本宮山山頂付近付近

 霊山・本宮山山塊中もっとも標高の高い地点のひとつである。この地点からの可視範囲を図 41に示す。
 
            図 41 可視範囲
 近距離に対しては、霊山との間の谷地に向かって地形が下る西方向に可視領域が広がっているが、東方向では起伏が複雑で可視範囲は広がらない。しかし、北東方向の山麓から向こうには可視領域が一面に広がり、臨海部にまで到達する。北西方向の市域西端にかけては霊山の稜線によって視線が阻害され、明確に可視範囲が区切られる。
  この地点における景観CG画像を図に示す。
 
            図 42 景観推定画像

 南から北西方向にかけては、視点場メッシュが属する自然山林80が広がり、起伏が大きい。北から南東方向にかけては、展望が大きく開け、市域を広く見渡すことができる。
 北から北東にかけての近距離には足元に丘陵地型農地64、自然丘陵地75、丘陵地型農地65および丘陵地型住宅地15が連なり、その向こうに丘陵地型住宅地12および自然丘陵地71が大きく広がる。さらにその向こうには臨海部へかけて市街地が連綿と続いており、可視領域の端に工業地が水平に連なっている様子が見える。また、東方向には北東方向にかけて平野型住宅地50を中心とする沿いの諸ゾーンが望め、その向こうに九六位山嶺を含む自然山林81が展望できる。
 市街地ゾーンと非市街地ゾーンがバランスよく混在し、臨海部まで連続して見通せることから、都市としての大分市の展開を一望のもとに理解しやすい景観である。

 



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