1997年度卒業研究
地形と土地利用データを用いた
景観構成条件による地区類型に関する研究

7.8. 視点場クラスタ7

 視点場クラスタ7は、市域全体に広く分布する閉塞眺望クラスタである。クラスタ構成メッシュからの景観ゾーンに対する視覚指標マップを図 43に示す。また、景観ゾーン別の詳細な視覚指標を表 21に示す。
 可視面積は第六章の表 14に示すとおり市域全体に対して非常に狭く、わずかに図 22に示す因子?にあたる霊山・本宮山山塊、因子?にあたる九六位山嶺に対して比較的広いのみである。
 クラスタ構成メッシュは市域に広く分布するため、可視面積は総じて小さくなり比較的可視範囲が大きいゾーンも分散して位置していることから、視覚指標によるゾーンの評価は意味が薄いと考えられるが、観察によれば距離・可視面積・視線入射角の3指標ともに上位にあるものは自然丘陵地72であり、また可視面積と視線入射角において上位にあるものは丘陵地型農地60、丘陵地型農地61、自然丘陵地70、自然山林80、自然山林81、自然山林82および自然山林83であり、距離と視線入射角において上位にあるものは丘陵地型農地64、丘陵地型農地65および自然丘陵地73である。距離・可視面積において上位にあるものは観察されなかった。
 視覚指標上位のゾーンは全て非市街地ゾーンでありクラスタ分布も丘陵地や山の谷部に広がっていることから、非市街地の視点場の近隣のみで構成される景観であると考えられる。
 
 
                図 43 クラスタ7視覚指標マップ
 

     
            表 21 クラスタ7からの視覚指標値
 つづいて、クラスタ7に含まれる筒井付近についての景観推定を行う。

 7.8.1. 景観推定〜筒井付近

 大分市南部、大野川沿いの谷間である。この地点からの可視範囲を図 44に示す。
 
            図 44 可視範囲
 すべての方向に対して、近距離から視線が阻害され可視範囲が非常に狭く、谷地部、平野部を問わず標高の低い地点はほとんとみることはできない。わずかに北東方向と西方向、南西方向の山地の山頂付近のみに視線が達している。
  この地点における景観CG画像を図に示す。
 
            図 45 景観推定画像
 全方位に対して、視点場メッシュ自身が属する丘陵地型農地61と自然丘陵地72の地形の盛り上がりが間近に迫っている。南方向のみが比較的なだらかであるが、市域の端に近く何も展望できない。近景の高みの上に、北東から東方向には自然山林81を、南西方向には自然山林83を、西方向には自然山林80をわずかに望むことができる。
 周囲は、まさしく閉塞的で起伏の大きい非市街地景観に挟み込まれている印象である。
 



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