1997年度卒業研究
地形と土地利用データを用いた
景観構成条件による地区類型に関する研究

7.9. 視点場クラスタ8

 視点場クラスタ8は、霊山の北側山腹、高崎山の南側山腹および松岡から明野にかけての丘陵の尾根部に分布する広域眺望クラスタである。クラスタ構成メッシュからの景観ゾーンに対する視覚指標マップを図 46に示す。また、景観ゾーン別の詳細な視覚指標を表 22に示す。
 可視面積は多くのゾーンに対して非常に広く、市域の多くを見通すことができるが、第六章の図 22に示す因子?に示す大野川中流周辺の地域と因子因子?にあたる吉野盆地周辺に対しての可視範囲は狭い。また、表 13に示すとおり比較的高い標高に位置していることによって、平坦なゾーンに対しても視線入射角が大きくなりやすい。
 景観ゾーンに対する視覚指標を観察すると、距離・可視面積・視線入射角の3指標ともに上位にあるものは丘陵地型住宅地10、13および丘陵地型農地60であり、このゾーンの景観に対する影響力は特に強いと考えられる。この他、距離・可視面積において上位にあるものは都心商業地20、周辺商業地31、平野型住宅地00および丘陵地型住宅地12であり、また可視面積と視線入射角において上位にあるものは自然丘陵地70、自然山林80および81であり、距離と視線入射角において上位にあるものは平野型農地52、64および自然丘陵地77であって、これらも視点場クラスタ8における景観に対して一定の影響を与えていると推定される。
 視覚指標上位のゾーンには市街地ゾーン、非市街地ゾーンともに含まれている。このクラスタもクラスタ3,6と同様に表 13に示すとおりクラスタ構成メッシュが比較的高い標高に位置する広域眺望クラスタであり、非常に多くのゾーンによって景観が構成されると推定される。
 
            図 46 クラスタ8視覚指標マップ
 

     
            表 22 クラスタ8からの視覚指標値
 つづいて、クラスタ8に含まれる霊山展望台付近についての景観推定を行う。

 7.9.1. 景観推定〜霊山展望台付近

 霊山中腹にある展望台である。この地点からの可視範囲を図 47に示す。
 
            図 47 可視範囲
 視点場メッシュが霊山の山腹の中途に位置するため、背後の南東方向から南方向を経て西方向へ対しては、可視領域が非常に少ない。しかし北西方向から北方向を経て東方向へは、霊山山麓から向こうに可視領域が一面に広がり、臨海部まで到達している。
  この地点における景観CG画像を図に示す。
 
            図 48 景観推定画像

 南東から西方向にかけては霊山の山頂方向に向かって自然丘陵地80の斜面が迫っている。北西から東方面にかけては、展望が大きく開け、市域を広く見渡すことができる。視点場クラスタ6と比べると共通性は高いものの、眺望が開けた範囲が西方向にシフトしていることがわかる。
 北西から北にかけては足元に丘陵地型農地64や平野型農地52、丘陵地型住宅地13などが連なり、はるか遠方の高崎山までほとんど可視領域が途切れることなく連続して眺望できる。北東方向には丘陵地住宅地12が大きく広がり、その向こうには周辺市街地31も展望できる。また、東方向には大野川流域の低標高地域を挟んで九六位山嶺を含む自然山林81が展望できる。
 視点場クラスタ6と同様に市街地ゾーンと非市街地ゾーンがバランスよく混在しているが、市域西端に近い地域がより足元近く見えるため、視点場クラスタ6よりもダイナミックな印象が増している。

 



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