1997年度卒業研究
地形と土地利用データを用いた
景観構成条件による地区類型に関する研究

7.10. 視点場クラスタ9 

 視点場クラスタ9は、霊山・本宮山山塊、九六位山嶺および松岡の丘陵地に囲まれた地域に分布する限定眺望クラスタである。クラスタ構成メッシュからの景観ゾーンに対する視覚指標マップを図 49に示す。また、景観ゾーン別の詳細な視覚指標を表 23に示す。 
 可視面積は、おおむね第六章の図 22に示す因子?にあたる大野川中流沿いの平野と周辺の丘陵地と因子?にあたる霊山・本宮山山塊、因子?にあたる九六位山嶺に対して広い。 
 景観ゾーンに対する視覚指標を観察すると、距離・可視面積・視線入射角の3指標ともに上位にあるものは丘陵地型農地61、自然丘陵地70、71および72であり、このゾーンの景観に対する影響力は特に強いと考えられる。この他、距離・可視面積において上位にあるものは平野型住宅地05、平野型農地50、丘陵地型農地65および自然丘陵地75であり、また可視面積と視線入射角において上位にあるものは丘陵地型農地60、自然山林80および81であり、距離と視線入射角において上位にあるものは自然丘陵地73であって、これらも視点場クラスタ9における景観に対して一定の影響を与えていると推定される。 
 視覚指標上位のゾーンには非市街地ゾーンが非常に多く、周囲を自然丘陵地や自然山林に囲まれた非市街地中心の景観が展開すると推定される。 
 
              図 49 クラスタ9視覚指標マップ 
 

     
            表 23 クラスタ9からの視覚指標値 
 つづいて、クラスタ9に含まれる舟本大橋付近についての景観推定を行う。 

 7.10.1. 景観推定〜舟本大橋付近 

 大野川にかかる橋である。この地点からの可視範囲を図 50に示す。 
 
            図 50 可視範囲 
可視領域は大野川沿いの平野に対して一様に広がっていて、ごくわずかの視線が北方向の海岸部へ抜けている。西方向へは松岡の丘陵地の外辺で視線が遮られ、丘陵部の頂部は展望できない。南東から南西方向の視線は九六位山嶺および霊山・本宮山山塊の山腹へ多く到達している。 
  この地点における景観CG画像を図51に示す。 
 
            図 51 景観推定画像 
 近景に視点場が属する平野型農地50が広く展開し、北西から北方面に松岡の平野型市街地04を望むことができる。また、南方向には丘陵地型農地61を展望できるが、自然山林および自然丘陵地を除くとその他に大きく展望できるゾーンはほとんどない。自然山林および自然丘陵地については、東から南東にかけて九六位山嶺を含む自然山林81とその麓の自然丘陵地70が連なり、南西から西にかけては霊山・本宮山山塊を含む自然山林80とその麓の自然丘陵地72が展望できる。また、西から北西にかけては自然丘陵地71の外辺部が低く盛りあがっている。 
 近景遠景ともにほとんどが非市街地景観で構成され、特に平坦な農地が開けていることから、開放的な印象の景観である。
  



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