1.研究の背景と目的
従来、街路景観を評価するうえで、街路景観の基本要素である「道路」と「建築物」の関係について論じられている研究には、沿道の建物と街路幅員との比率が街路空間の囲繞感を規定するとした芦原の研究1)や、3つの街路プロポーション指標を提示した篠原の研究2)など多くの蓄積がある。しかしながら、そのいずれの指標も「道路」と「建築物」についてのプロポーション指標であり、街路景観の評価を左右すると思われる「街路樹」を含めた街路景観について触れられているものではない。  
以上のような背景に基づき、本研究では街路景観の構成要素のうち、「建築物」と「街路樹」の2要素に着目し、「建物高さ」と「街路樹高さ」の変化と人の街路景観評価との関係を分析・考察することを目的とする。  
なお、本研究では、被験者が仮想的に街路歩行を体験することにより、精度の高い研究結果が得られると思われることから、従来よく用いられてきた街路の静止画像ではなくCGアニメーションを用いた。

 


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