第4章 結論と今後の課題

本研究では、八代市本町商店街とフェルトホーヘン市中心商店街の歩行者の買物行動調査データに基づいて、個々の歩行者のヒューリスティックと歩行者の他の属性との関係について、2つの商店街の共通点及び相違点を考察した。

得られた知見のうち、主な共通点としては以下のことが挙げられる。

共通点1)歩行者は年齢が上昇するほど、時間的ヒューリスティックを用いる可能性が高くなる。

共通点2)事前に商店街に来ることを計画していた歩行者は、計画していなかった歩行者に比べFDOを用いる可能性が高くなる。

共通点3)歩行者は立寄り店舗数が増加するほど、時間的ヒューリスティックを用いる可能性およびFDOを用いる可能性が低くなる。

また、得られた知見のうち、主な相違点としては以下のことが挙げられる。

相違点1)フェルトホーヘン市では、商店街での買物頻度が少ない歩行者ほど寄り道をする可能性が高くなるのに対し、八代市では商店街での買物頻度が多い歩行者ほど寄り道をする可能性が高くなる。

相違点2)フェルトホーヘン市では、家から商店街までの距離が遠いと推定される歩行者ほど買物中に寄り道をする可能性が高くなるのに対し、八代市では家から商店 街まで の距離が近いと推定される歩行者ほど買物中に寄り道をする可能性が高くなる。

本報告では、分析の過程において構成比のみを用いて比較検討を行ってきた。ゆえに、今回の考察中には、統計学的には立証されないものも含まれている。今後の課題としては、統計学的な手法を用いて今回の結果を検証することが必要である。

 

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