竹材の有効利用に関する研究
竹は、木材と同様に我々の身近にある材料の一つであったため,古来よりその特徴を生かしザルや籠といった生活用具や,仕上材・造作材のような建築材料など,さまざまなかたちに加工され利用されてきました。しかし,現在我が国では,プラスチック系材料などの様々な材料がそれにとって代わり,竹の材料としての需要は減少し,竹の多くは使用されることなく朽ち果てています。こうした竹材の需要減少に伴い,ある程度人の手により管理されてきた竹林は荒れ,スギやヒノキの植林地に侵食したり,また,住宅地に広がったものはその地下茎が住宅の基礎や給排水管を破壊するといった問題をも引き起こしているのが現状です。 また、朽ち果てることにより、今まで竹という形で固定化されていた炭素を大気中に二酸化炭素として放出することになります。そこで、これらを有効に活用することで、二酸化炭素中の炭素固定化に寄与し、緊急の課題となっている地球温暖化防止にも繋がると考えています。

竹材の特性

竹材の長所と短所

<長所>

・引張強度が木材の2〜4倍、鋼材の約半分

・割裂性に富む

・柔軟で強靭な素材である

<短所>

・生物劣化が発生しやすい  

・「割れ」が生じやすく、「虫」・「カビ」がつきやすい

・屋外の気象劣化が進行しやすい

樹種名 気乾密度

曲げヤング係数

(tf/cm2

圧縮強さ

(kgf/cm2)

引張り強さ

(kgf/cm2)

曲げ強さ

(kgf/cm2)

モウソウチク 0.76 125 780 1760 1440
マダケ 0.80 155 740 2480 1900
スギ 0.38 75 350 900 650
ブナ 0.65 120 450 1350 1000
竹質資源の現状
  竹材生産量(万 ton ) 竹材面積( ha )
竹材全体 モウソウチク マダケ 竹材全体 モウソウチク マダケ
1位

鹿児島

3.85

鹿児島

2.68

大分

1.23

鹿児島

15,778

鹿児島

7,429

大分

9,034

2位

大分

1.22

熊本

1.18

山口

0.39

大分

11,760

山口

5,595

山口

4,349

3位

熊本

1.22

福岡

0.43

千葉

0.26

山口

11,131

福岡

2,910

鹿児島

1,283

全国計 11.28 6.59 3.34 71,116 32,263 25,906
新しい木竹質系材料

軸材料

・構造用集成材(Laminated Timber)

・LVL(Lamitated Veneer Lumber)

・PSL(Parallel Strand Lumber)

   ・OSL(Oriented Strand Lumber)

面材料

・MDF(Medium Density Fiberboard) 

・OSB(Oriented Strand Board) 

・LVB(Laminated Veneer Board)

・ゼファーボード(Zephyr Board) 

・SST(Superposed Strand Timber)