(暫定公開版)


平成11年〜13年度科学研究費補助金(基盤研究B(2)) 研究成果報告書

国土空間データ基盤とランドサットTMデータの統合による
都市緑地の評価手法の開発

 
はしがき
各章の概要
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■はしがき

 戦後、我々を取り巻く環境は大きく様変わりしてきた。高度経済成長、モータリゼーションの進行、高速交通手段の獲得、商業圏域の拡大、重化学工業の発達と地方への立地などにより、かつての都市構造を大きく変化させ、経済的豊かさと利便性を享受するに至った。このような成長・発展は、戦災復興計画や国土利用計画法、全国総合開発計画(現在は第5次全国総合開発基本計画−21世紀の国土のグランドデザイン−)などの法制度・計画によるところが大きいと言えよう。利便性と豊かさを得た一方で、我々の最も身近にある都市・地域環境、生活環境も同時に変貌を遂げてきた。大気汚染、騒音、水質汚染などの問題も生じ、自然環境への負荷や、生活環境への影響をどのように解消していくかの問題を同時に我々に提起したのである。開発と保全・保護といった問題は、我々の身近にあり、一方で表裏一体の性質を持っている。自然が許容できる範囲での開発の視点から、自然に立った視点での都市の発展が求められているのではないだろうか。


 現在、全国では緑の基本計画(緑のマスタープラン)の策定を完了した自治体がほとんどである。また、国レベルでも生物多様性国家戦略が打ち出され、21世紀半ばまでの自然環境や生態系の持続可能な取り組みが示され、自然環境基礎調査(別名「緑の国勢調査」)も実施され、環境アセスメントなどの環境施策のための基礎資料として提供されるに至っている。「21世紀の国土のグランドデザイン」が「自然と都市の共存」を掲げているように、いかに都市内部や周辺の緑地を保全・保護し、快適でかつ、健全な都市空間・生活空間を創造し、アメニティあふれる環境づくりこそが、新世紀を迎えた国土・地域レベルでも重要な課題とされているのである。

 このような課題解決のために、大分大学工学部建設工学科佐藤を中心とする研究グループをつくることにした。佐藤を中心とするグループに加え、九州大学の有馬隆文助教授、システム構築と運用の面での協力者として、(株)キャディックス・大分R&D・所長の丸山祐治氏により研究組織を構成した。


 最後に、研究に参加された大分大学の大学院生および学生諸君に厚く感謝申し上げるとともに、資料提供をいただいた北九州市都市計画関係部局に感謝申し上げたい。研究協力いただいた研究室の皆さんの名前を記して感謝の意を表します。前田貫一、野寄朋彦(以上修士論文) 、三宅隆喜、福田裕文(以上修士論文、卒業論文)、安部栄二、広中聡、高階匠、堀尚俊(以上卒業論文)。

平成14年3月

大分大学工学部教授
佐藤 誠治

 

 

 
■各章の概要
   本報告書は本章を含めて、全8章で構成されている。

 第2章では、ランドサットTMデータより作成される土地被覆分類図とNDVIを用いて、各都市の土地利用とNDVIの分布状況と変化の態様を経年的に把握する。またその際に、地形的条件(標高と傾斜度)も考慮して、分布状況を把握する。

 第3章では、土地利用の分布特性(分布の形状や連坦性・集塊度)を測定するために、形態指標と平均連結度数の導入と適用を行う。これにより、特に市街地と緑地の分布状況を定量的に把握を行う。

 第4章では、緑地の減少地点を抽出し、その地点を対象として数量化T類分析により緑地減少要因を把握する。

 第5章では、緑地地域の特性を把握するために、各種社会的環境要因を考慮して、数量化V類分析、クラスター分析により、緑地地域を類型化し、その特性を明らかにする。

 第6章では、緑地変化に影響を与える市街地を定量的に把握するために、空間相互作用モデルを応用した市街地分布影響モデルの導出と適用を行い、土地利用変化の態様を把握する。

 第7章では、これらの分析手法をGIS上で展開し、システムとして構築を行う。

 第8章では、各章をまとめて総括とする。
 

  ■報告書の閲覧(PDF形式)
 

 

冒頭部分  
第1章   序論 
第2章   土地利用分布状況
第3章   土地利用分布特性の把握
第4章   緑地減少の要因分析
第5章   緑地地域の特性把握と地域類型化
第6章   空間相互作用モデルを応用した市街地分布影響モデルの導出と適用
第7章   GISを用いた緑地環境評価システムの構築
第8章   総括

 


 
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佐藤誠治建築・都市計画研究室
 
Study and Research