シークエンス景観特性

7−1 距離景と景観タイプ

前章の景観タイプの分類結果を、視点場を軸としたダイアグラムで表示し、やまなみハイウェイの標高と画像の占有割合のブラフと併せて下図に示す。
前章の結果から、9つの景観タイプが抽出され、やまなみハイウェイのシークエンス景観が変化に富んでいることが明らかになった。最も出現回数が多い景観タイプはType9で、実に20もの視点場がこのタイプに分類される。大半は、標高差の大きくない平坦な地形にあり、九重連山を視対象とした時、遠距離景に位置する視点場である。

また、9つの景観タイプは、GroupA,Bの大きくふたつのグループに分類することができる。
各グループの特徴を以下にまとめる。

□GroupA、Bの特徴
GroupA GroupB
景観タイプ : Type5〜9
距離景 : 中遠距離景
特徴 :平坦な地形で、道路両側は草原が広がり、視界が開け見通しの良い景観である。各視点場からは九重連山の山容を見ることができ、非常に開放感がある。
景観タイプ : Type1〜4
距離景 : 近距離景
特徴 :起伏の激しい地形にある。九重連山の山中にあるため、樹木により視界が遮られ、山容が見えない場所も多く、圧迫感を感じる。
下図の景観タイプダイアグラムの GroupA、Bの凡例をクリック!


7−2 シークエンス景観の分節点

前章において抽出された9つの景観タイプのうち、タイプ4と5は視点場がただひとつきりのタイプである。すなわち、タイプ4の視点場39と、タイプ5の視点場27は他の視点場とは類似していない、特徴的な景観と言える。これは何を示しているのだろうか。

シークエンス景観とは時間とともに変化する景観の展開性である。その次から次へと移り変わる景観の中に、景観がある時、がらっと劇的に変化する点「分節点」が存在する。 視点場39、27はこの「分節点」に相当する視点場であると考えられる。下図の占有割合のグラフを見ると、視点場39と27の所で、占有割合が著しい変化を示していることが分かる。このことは、連続的にシークエンス景観が展開される中で、この2つの視点場が、景観を体験する者(この場合は運転手)に、景観の変化を感じさせる点、即ち「分節点」になることを示している。

また、視点場27で撮影された写真が、九重連山を眺望する写真として、よく観光パンフレットやガイドブック、そして最近ではホームページに掲載されている。これは、人々が視点場27を他の視点場に比べ、特徴的であると感じている裏付けとなるであろう。

下図の占有割合の 分節点の凡例をクリック!








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