都市景観の類型と景観評価構造把握による 景観保全手法に関する研究

Study on the Landscape Preservation Method Using Classification and Evaluation Construction of Urban Landscape

 

第6章 総括

 

 



 


 

 近年、景観計画を都市計画の主要な課題として位置づける都市が多くなっている。一般的に都市における景観整備計画を進める場合には、まず、都市の地形的条件と多様な都市の構成条件などを的確に読み取り、現存している景観の特徴と問題点を抽出して、当該都市の特性に合った固有の景観整備案を策定することが必要とされる。


 本論文では、研究対象都市として釜山市をとりあげる。港湾都市としての豊かな水辺景観と、丘陵や山々が市街地を取り囲むように存在しているため、斜面地を特徴とする都市景観を有している。地形的制約と都市周辺の開発制限地域指定により、市街地周辺の斜面地に無秩序に住宅が建築され、様々な都市問題が起こり、多くが再開発の対象地域になっている。最近、良好な都市景観保全の認識が高まり、的確な景観評価の提案が急がれている韓国において、釜山の都市景観の美化、個性化を実現するための都市景観に関する総合的な計画の樹立が求められており、そのためには、現状把握、問題点の抽出、今後の景観保全関連政策に応用できる、知見を以下にまとめて総括とする。


1. 調査地域の選定と画像データベースを基にした類型化を通して、都市景観の特徴を把握すること

1).  景観画像データベース
2).  釜山都市景観の類型化
3). 景観類型の分布

2. 意識構造と視覚構造の関連を基にして、問題景観の判断手法を構築すること

1). 可視判定・視野角比という視覚指標により都市景観の視覚的特徴を抽出
2). AHP法を用いて,エキスパートの問題景観判断に対する意識構造を定量化
3). メッシュデータとAHP法を兼用することから、視覚的測面と意識的測面を総合的に評価、 これにより問題景観の潜在度の高い地域のゾーニングができた

3. 山並み眺望景観を保全するため、山並み眺望景観の形態別に、山並み眺望景観上影響度が高い地域を抽出すること

1).  山並み眺望景観の眺望形態における視点場抽出
2).  山並み眺望景観に影響度が高い地域
3).  山の視覚量から影響度の変化から各眺望形態ごとに適する知見を得ることができた。

4. 山並み眺望景観を保全するため、建物最高高さ制限に着目した山並み景観保全指針を提案すること

1). 建物高さを考慮した山並み眺望景観を保全する基準            2). 山並み景観の視覚的特徴から、以下を山を望む良好な視点場群として設定                                               3). 今回の研究では、視点場と周辺地域の地形的情報から、山並み景観保全の地域の指定と、その方向性を示すことができた。