政策評価 のための景観シミュレーション of 佐藤誠治 建築・都市計画研究室

政策評価 のための景観シミュレーション

○重要な景観対象の可視・不可視は景観行政の対象(熊本城)
都市景観行政という言葉が聞かれるようになって一定の時間が経過したが,近年,景観 行政が都市計画に組み込まれるようになってきている。先進的な都市では,景観シミュレ ーションによってその効果の検証が試みられている。  まず,第1の事例は熊本大学工学部建築学科両角研究室で行われた,熊本城の景観評価 のためのシミュレーションである。この研究は都市のランドマークとしての熊本城が市街 地からどのようにみえるのか,市街地内の高さ制限や,総合計画設計制度など都市計画と の関連で変化する建築形態が熊本城の見え方をどのように規定するのかを詳細なシミュレ ーションによって分析したものであり,この分野における先駆的な成果である。

・・・・・・・・ 写真12 熊本城の景観シミュレーション  ・・・・・・・・・・









○重要な景観対象の可視・不可視は景観行政の対象(別府の斜面緑地)
つぎに,景観の構造的な要因を保護する立場からの景観シミュレーションにより,計画 の実証をこころみた事例である。
大分県別府市では,景観形成基本計画を作成し,全市の景観誘導計画を策定すべく検討 を進めている。その中で,別府市がもつ景観構造の特性である背後地の緑の山岳斜面の見 え方を保全をするために,建築物の高さをコントロールしたばあいにどの様な効果が現れ るかをシミュレーションした。別府駅周辺の中心市街地,高層ホテルの立地する観海寺地 区,高層マンションの立地が進行している石垣地区の3地区の建物データを入力し,この 3地区のみの高層化を促進して床需要を供給する場合など,いくつかのケースを設定し, 建物の高層化を選別的にみとめる場合の背後地の緑の見え方のシミュレーションを行って いる。


f7-06-1.jpg別府市の景観シミュレーション(建物高さのシミュレーション)


f7-05-1.jpg別府市の景観シミュレーション(建物高さのシミュレーション)

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