都市景観の類型と景観評価構造把握による 景観保全手法に関する研究

Study on the Landscape Preservation Method Using Classification and Evaluation Construction of Urban Landscape

 

第3章 都市景観における問題景観判断手法の構築

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3-3-2 可視不可視分析と視野角比分析


 本章では、景観という3次元空間上の問題を取り扱うことから、メッシュデータをコンピュータ上の3次元仮想空間に展開する。3次元化にあたっては、各メッシュを二つの三角形ポリゴンに分割し、連続した三角形ポリゴンで地表面を形成する。但し、本研究はでは、視点の高さは250mメッシュの交点(メッシュの左下の高さ)+人間の目の高さ1.6m、視対象になる三角形ポリゴンの3点の平均値を該当ポリゴンの高さ、視線は視点から視対象ポリゴンの重心を結ぶ線である。そして、本研究では景観の最も基本となる原地形に着目して、各景観判断要素に対して可視不可視判定、可視距離 、視線入射角および可視域の視野角比の算定を行う。広域的都市のスケールでの地形空間構造、および、各可視領域における各景観判断要素の視覚的構造を明らかにする。これらは、各景観判断要素が景観に対する影響力を推し量ることができるといえる。釜山市の全視点から展望できる景観に対して、各景観判断要素による分析結果を250mメッシュ上に作成しておく。

(1)可視・不可視判定

釜山市の陸地を形成する250mメッシュを視点とし、釜山市の陸地・河川と海岸から5km以内の海を形成する全地形ポリゴンに対する可視・不可視の判定を行う。全メッシュについて、それぞれ可視判定は、視点メッシュから、視対象となるポリゴンに対して他のポリゴンに阻害されることなく視線をのばせるかどうかで判定する。

(2)景観判断要素の視野角比


ここで視野角比とは地形全体の見えがかりの大きさに対する、各要素の大きさの割合のことである。まず、視野角の計算方法は、視点と可視ポリゴンの重心の距離「可視距離Dv」と、視線と視対象面のなす角度「視線入射角θv」を計算する。ポリゴン面積 注10)を視線に垂直な平面に投影したポリゴンの面積をもとめ、(ポリゴン面積にサイン[視線入射角]をかけ、投影面積を算定する)それを距離の2乗で割って、視点からの視野角を計算する。ここで、距離の2乗で割った理由は、見えがかりの面積は距離の2乗に反比例するからである。計算方法は図3−4と式3−1、式3−2の通りである。以上の算定方法後、ある視点における視野角の中に各々景観判断要素の視野角が示している割合をその景観判断要素の視野角比とする。可視不可視分析結果、地形的条件によって、各視点に対する視野角の差が大きいので、個々の景観判断要素の視野角比を当該メッシュの視野角の合計で割り出したものを指標とする。ある景観判断要素の視野角比が高いほど、当該メッシュの景観に対する影響力が強くなるといえる。

 


 

釜山都市景観における地形的条件からみた視覚的特徴


 釜山市を覆う11331個の視点から見える、景観判断要素の組み合わせと各景観判断要素の視野角比を計算する。可視領域内の地形別構成比を表2にまとめている。まず、釜山市の250mメッシュ上の視点からみると、原地形レベルでみると、大部分の視点から山を望むことができて、各メッシュに対して、山の視野角比が70%以上であるメッシュが29.69%まで示す。これらは、釜山市の眺望景観において、山やその周辺地域は景観判断に影響力がかなり強いことがいえる。海が見える視点は全メッシュの40%にまで達し、視野角比は山に比べて低いが、その理由は可視判定を5km以内に限定注9)しており、海は山に比べ視線入射角が小さく、その結果、可視面積の計算結果が小さくなっている(表3−2)。

 

表3−2 各メッシュの視野角比別の地形構成比

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