東アジア建築都市デザインワークショップにおける国際的・実践的教育 of 大学教育改革支援プログラム


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東アジア建築都市デザインワークショップにおける国際的・実践的教育

(1) 実施日時と参加者
平成24年7月29日(日):韓国巨済市、統営市、昌原市の景観調査
平成24年7月30日(月)~8月4日(土):東アジア建築都市デザインワークショップ
開催場所:釜山大学校Jangjieonキャンパス401号建設棟(韓国釜山市)
参加大学:【韓国】釜山大学(教員2名、学生15名)
【日本】大分大学(教員2名、学生10名)注)、九州大学(教員2名、学生5名)
【中国】同済大学(教員2名、学生12名)
注)2012年度 大分大学参加者リスト
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(2)実施内容参
開催趣旨:1996年以降、釜山大学校建築学部は東アジアから集まった学生のために、毎年夏期に設計ワークショップ開催しており、参加学生達は、21世紀のアジアにおける都市の文化的アイデンティティを背景に、新しい建築学や都市の設計手法を模索する機会を得ている。各国学生と教員のグループは設計上の問題を探ることにより、 東アジアの建築伝統を再評価し、国際競争力を強化する貴重な機会を提供することを目指している。また、諸外国の学生間で行われる討議や文化交流の機会を提供している。
テーマ:東道西器を考える- Think of 東道西器 again and again -
アジア固有の精神をもって、西洋の技術を学び取り活用するという視点に基づき、釜山大学内にある自然渓谷の利活用計画が課題である。
以下、テーマ説明資料(事前配布資料)参1)より一部引用し翻訳要約。--------------
都市建築のフォリーは、フランスの「folie」に始まり、一般に自然の景観をよくするために建てられた特段用途のない建物である。一方、老子曰く、万物は永久にそして絶えず変化している。構造物に置き換えると、全ての構造物は解体と再創造のなかで改造されるためにあるとも考えることができるように、全ては何かへ変形しているという考え方である。
西洋文化では、フォリーには「装飾用の建物」といった一つの用途しかない。フォリーの意味(位置づけ)は固定的なのである。しかしながら、前述の論点からも、東洋においては、フォリーの意味が一つに確定されていないと考えることができる。
皆さんへの計画課題はミルキーバレー(釜山大学以内の自然渓谷)に沿った5つのポイントの1つに位置するフォリーと道を結びつけることである。---------------------

提出物:
1)600×900mmパネル1枚/チーム
(チーム番号、メンバー氏名をパネル右肩に明示、使用言語(英語)以外の書式は自由)
2)模型(主たる模型材料は先方準備、道具の一部は持参)
3)最終発表会用パワーポイントデータ

サイト:テーマ説明資料(事前配布資料)参1)より引用翻訳
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■2012/6/16
  参加者決定(大学院10名(M1:7名、M2:3名))
  学生幹事決定→名簿作成、学科事務室へ連絡、  
  パスポート取得、保険手続き@生協
16:30-18:00  第1回事前講座(テーマ理解と準備について)
 

■2012/7/03
16:30-18:00 第2回事前講座(エスキース1)
  対象敷地の情報収集結果発表とコンセプトの提示  

■2012/7/10
17:00-19:00 第3回事前講座(エスキース2)
  コンセプトと設計ダイアグラムの提示  

■2012/7/17
16:30-18:30 第4回事前講座(エスキース3)
  コンセプト、設計ダイアグラム、設計案の提示  

■2012/7/24
16:30-19:10 第5回事前講座(出国前最終発表会)
  設計案の合評会(英語)、ワークショップ講義の予習(レジュメ議論)  
  スケジュール確認、荷物チェック  

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韓国(グレー表示は講座)
■2012/7/29
06:00-14:00 大分駅→博多駅→福岡空港→釜山空港
14:30-15:30 釜山空港→巨済市→統営市(途中:昼食)  
15:30-18:30  閑麗海上国立公園沿岸(景観調査)
 

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19:00-  夕食・就寝
 

■2012/7/30
08:30-09:00 朝食
09:00-12:00  弥勒山山頂(閑麗水道全景)  

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12:00-13:00  弥勒島観光特区の景観調査(中央伝統的市場・文化広場)  

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13:00-13:30  昼食  
13:30-14:30 昌原市馬山工業地帯、新都市、コンベンションセンターの視察  

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14:30-16:00  昌原市→釜山大学  
16:00-17:30 デザインワークショップ:受付  

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17:00-18:00  開会式、オリエンテーション(Prof. Lee)/配属スタジオの決定  

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18:30-  レセプション(担当教員の紹介他)後、就寝  

■2012/7/31
07:30-08:30 朝食
09:30-10:30  講義Ⅰ【建築哲学】:Think of 東道西器 again and again(Prof. Lee Dong-Eon)  

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10:40-11:50  現地踏査  

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12:00-14:00  昼食・お昼休み  
14:00-16:00 講義Ⅱ【建築歴史】:Leaning from History(Prof. Kim Jong-hun)  

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16:00-18:00 ワークショップ(途中スタジオごとにクリティーク)  

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18:00-19:00 夕食  
19:00- ワークショップ(各チームともコンセプトを中心に議論を重ねる)  

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■2012/8/1
07:30-08:30 朝食
09:00-12:50  講義Ⅲ【茶室(日本)・亭(韓)】:( Prof. Sato Seiji and Prof. Lee Hoyeol)  

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12:50-14:00  昼食  
14:00-18:00 ワークショップ(敷地分析とコンセプト:途中スタジオごとにクリティーク)  

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18:00-19:00  夕食  
19:00- ワークショップ(2 日午後の中間発表に向けての追い込み)  

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■2012/8/02
07:30-08:30 朝食
09:00-15:00 ワークショップ(中間発表会に向けた作業のため朝昼食ともに会場内で軽食)  

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15:00-18:30  中間発表会(15チーム公開クリティーク:発表5分質疑3分)熱心な発表とクリティークにより大幅に時間延長。教員6名に加え、釜山大学の教員2名も参加。  

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18:30-19:30  夕食(寸暇を惜しみ会場内(スタジオ)で軽食)  
19:00- ワークショップ(最終発表会へ向けて提案のブラッシュアップ)  

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■2012/8/03
07:30-08:30 朝食
09:00- ワークショップ(昼夕食:最終発表会に向けた作業のため会場内で軽食)  

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途中スタジオごとに約90分のクリティーク
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■2012/8/04
07:30-08:30 朝食(最終発表会に向けた作業のため途中会場内で軽食)
09:00-15:30 ワークショップ&提出(課題提出に向けた作業のため途中会場内で軽食)  

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15:30-16:30 展示設営  
16:30-17:00 展示会(ポスターセッション)  
 

14チーム全ての作品の展示の後、以下の手順で審査並びに順位を決定。

1)各学生チームにつき1票を投票。

2)教員によって別室審査(投票による多数決)。

2-1)学生投票により3ポイント以上獲得した作品を選出(6作品)。

2-2)加えて推薦すべき作品がないか協議後、作品を追加(2作品)。

2-3)教員投票によりゴールド賞1作品、シルバー賞2作品を決定。

他はブロンズ賞(5作品)とした。
 

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17:00-18:00 表彰式・閉会式2)  
19:00- 展示会(ポスターセッション)  
 

ゴールド賞:A05_C02(スタジオA所属、中国チーム)
/Living“Bubbles” the Sprit of Water

シルバー賞:A02_J03(スタジオA所属、日本チーム)/Ramificaton

A04_C01(スタジオA所属、中国チーム)/Path network system

ブロンズ賞:A01_K05(スタジオA所属、韓国チーム)/Healing Path

B02_K04(スタジオB所属、韓国チーム)/Constellation of Valley

B03_C03(スタジオB所属、中国チーム)/Forest Wall

C01_J05(スタジオC所属、日本チーム)/Into the Valley

C04_J01(スタジオC所属、日本チーム)
/Activity Steps Make a Harmony

 

 

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18:00-20:00 フェアウェルパーティ(慰労会を兼ねて学外のレストランにて実施)
 

■2012/8/05
07:30-08:30 帰国

(4)本事業の成果

本事業は「地域との強い連携に基づく建築技術者養成」プログラムの一環として実施した。同プログラムでは、主に「俯瞰教育」「実践教育」の効果を上げることを目的に掲げ、その目標達成の過程においては、国際的・学際的視点を加味した教育を目指している。

2012年7月30日~8月4日の6日間開催された東アジア建築・都市デザインワークショップは、複数国の教員による指導や、学生との協働によって国際的・学際的視点を加味した俯瞰教育の実現を目指して実施された。そのなかで、参加学生は複数国の建築、都市計画、造園分野のチューターから指導を受けるなど、国際的・学際的な視点による教育が実施された。また、学生の報告レポートにあるように、実施の過程においては、国際的なコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力の向上、またその研鑽を目指す強いモチベーションを培うことができた。さらに、海外に立地する実空間を対象に設計し、海外学生の設計プロセスや案に触れることによって、調査手法や対象分析・理解などの国際的な実践力を培うことができたといえる。